妖怪汚血 Monster-Oketu "Vitiated blood"

妖怪汚血は 子供が生まれる時の産血のお化けで  蓑Minoを纏ったMatotta 亀の様な姿をしており、赤子が 生まれると 這いだし、縁の下に 逃げようとします。すぐ捕まえ殺さないと 妊婦の下に入り込み  爪で刺して 母体を殺してしまうと 言われます「三谷日名ノ村人口伝」

 

産怪 Monster that gives birth to strange children

 医術の発達していなかった昔は 逆子や 巨大児で 難産すると母親は 死亡する事が多かったのです。昔の人は 医学的知識が無かったので、妖怪の悪戯Itazuraであると 思ったのです。生まれた子が 発生初期の流産であったり 奇形児だったり  発育不良児であったりすれば 退治の姿は 大きなオタマジャクシの様であったり 蛭子奇怪な妖怪の様であったりするので、異種動物との交雑の児であったり 妖怪を 産んだと 思ったのでしょう。ましてや 羊水が 腐敗しているような 感染症を伴う出産や 流産では、悪露Oroが床に流れる程多く、色合い 臭い等の性状から とも不快でおぞましく思え、母親の命にも 関わったでしょう。昔の人は 子供が生まれるのは 人間 等に備わった能力と言うよりも、天や神からの授かりものでしたので、流産も また 天あるいは 神のなせる業であり、奇異な 形の胎児も 悪しき神や 妖怪のなせる業に 思えたに違いありません。そこで 産怪と言う妖怪信仰が生まれたのでしょう。出産の準備が遅れたり 出産の準備が不足したりする時に、正常の赤子に 代わり 産まれるとされます。岡山県に伝わる 汚血と言う産怪の見かけは、亀のようで、背に蓑毛があるとされます。産怪 が生まれると、床を 這い出し家の縁の下へ 逃げ込もうします。すぐ捕まえて殺さないと 妊婦の下に入り込み、爪で刺して 母体を殺してしまうと 言われます。https://ja.wikipedia.org/wiki/産怪」  埼玉県の隣地東村山に住んでいた頃「嫁がケッケ(血塊)を 産んだと」いう人に 出合いました。何のことか   解りませんでしたが、岡山県の「オケツ」のことらしく 思え 会話を合わせました。埼玉県や 神奈川県の一部での産怪を「血塊ekkai」と呼び  言う モジャモジャ逆毛で 二枚舌の牛頭妖怪伝説が あるようです。ケッカイが 産床から逃げ出し  産婦が寝る 縁の下に滑り込むと 産婦の命が危ない(出血死する程の 多量の悪血が流れたためでしょう)と 言われます。埼玉の浦和には 出産時に 縁の下に屏風を敷いて 結界を張る 風習があると 高砂に住む 大学の先輩が 言っていました。これは血塊が 縁の下に 潜り込むことを 阻むためとされてい,ます。これには血塊(けっかい)に結界(けっかい)をもじった意味もあったようです。 Wikipediaによると「神奈川の足柄郡三歩村では、産み落とされた血塊は 血まみれのまま すぐに動き、囲炉裏の自在鉤を 昇り出す。こうして血塊が 逃げ切ると 産婦は死んでしまうと 言われていたため、前もって しゃもじを用意して 自在鉤に 括りつけておき、血塊が 出現して 自在鉤を昇り始めたら すぐさま、しゃもじで 打ち落としたという。https://ja.wikipedia.org/wiki/産怪」  

 


妖怪オケツの正体 Identity of The Youkai-Oketu

昭和の昔 人里離れた家人は20人程の大家族に 子が産まれようとしていました。父親が 不埒にも留守にしている上、1月とは言え 生暖かい湿度の高い日が 続いていて 汚血が生まれそうな 恐ろしい雰囲気でした。この家族にとって 牛は家族の一員であり 神聖な動物であったので、牛小屋に 再生の神 すなわち 農耕の神 安産の神 荒神等の神々を 祀っていたので 神のご加護を信じ、また 牛小屋は母屋Omoyaとは 別棟で、2階は 牛当番の寝所で 寝所の床の下は 広々とした空間があり 運悪く汚血が 床下に 逃げても 捕まえ易いので、汚血を逃がさないために 牛小屋の上で 出産させる事にしました。莚Musiroや屏風Byoubuで 床の下 床の周囲を 囲んで  結界を張りました。出産が始まると 家族の者は 床を囲んで 汚血の出現に備えました。家族の者は 汚血は 亀の様な姿で  蓑を着ていると 聞いていましたが、誰も 汚血を見た事が 有りませんでした。陣痛が 始まると 大慌てで 産婆を呼び、お湯を沸かし、莚や 屏風の周囲の囲みを 正しました。案の定 異常な出産で 早期に破水し 汚血と思しき物が産まれそうな 夥しObitadasiiい 出血があり 血液は 床下に滑り込んで行きました。する と亀の様な形の 未だ 見た事のない小さい生き物が 現れました。これが 噂の妖怪汚血かと お爺さんが捕まえようとしましたが 搔い潜られました。お婆さんの方へ逃げて来たので お婆さんが捕まえようとしましたが 躱さKawasaれました。伯父さん  叔母さん  従兄弟達  兄妹達 親戚の者達が、捕まえようとしましたが、素早くて 捕まえられませんでした。

騒ぎを 聞きつけ 犬達が バウバウ ワンワン キャンキャんと 吠えましたが、小さい生き物は あざ笑うかのように 結界の隙間に 潜りました。猫の手も借りたい状況になりました。すると 屋根から 猫がパッと飛び出し ピッと 踏ん付けると 小さい生き物は ポッと弾け あっけなく死にました。「亀と言うより 田亀みたいじゃのう  亀と田亀を 聞き間違うたんかのう」「いんや  亀じゃと 確かに 聞いた  じゃが その蓑毛が  無い   汚血じゃぁあるめぇ」等 と 言い合って、不思議な生き物を 突っつき合って 正体を調べていました。そこ 出産があると言う話を 聞き付けて 都会から赴任して来たばかりのお役人が 悦Etuを 言いに やって来て「これぁ 確かに 田亀に似ておるが ゴキブリと言う虫じゃ  都会では 当たり前のように 台所に 仰山おる」と 教えてくれました。「何じゃ  お役人が 都会から連れて来たのか  人騒がせじゃのう」 と 皆は 役人を囃しHayasi立て 笑いました。汚血騒ぎが 治まると オギャアオギャアと 産声が聞こえ  玉のような可愛らしい男の子が 生まれました。「三谷日名の家族の体験談」を基にした物語  平成23年(2011年)11月19日