狐の好物 Favorite food of fox


酒癖が 悪く 少しばかり女癖の悪い男が 芝刈りに 山に 出掛けると 可愛い娘が 道に迷って困っていました。見た事のない娘でしたので  一人旅をしているのだろうと 思い、親切にして付き合ってもらおうと 考えました。男が 娘に 困っている理由を 聞くと「娘は 狸Tanukiが 怖くて峠を 越せません。  まん悪く 騙さ)れ 道に迷わされているのです」と 答えたのです。見ると 普段と違う道が あったので、その道を 辿ってみると  険しい山に 続いていたので 元の処に 戻りました。この地の事を 知り尽くしている男は「狸の奴  とんだ 悪さをするものだ」と怒り、狸の住処(を 探し 穴の中で 寝ていた狸を 捕まえると「俺のせいじゃぁない」と 誤解を 解こうとしました。しかし 狸の言葉に かまわず 散々に 痛めつけ「娘を騙すんじゃぁ無い  またしたら 叩き殺すぞ」と 脅し 山から 追い出しました。男は 恋人気分で 娘の手を引き 娘の家の近くまで 送りました。娘は「父は 厳格な正義漢で 恩に厚い人です」と 重々しく語りました。厳格な父親と聞いて「邪な糞を 慎もう」と 初め抱いていた邪心を 捨て  別れようとしましたが「嫌いな狸を 退治してくれたお礼に 父は小父さんの嫌いな物を 退治しくれます」と 言って 手を離さず 男の嫌いな物を 尋ねました。

男は「嫌いな毒蛇が いなく成れば良い」と 答えました。娘は「世話は ありません   父は毒蛇捕りの名人です  ではさようなら」と 言って あっさりと 別れました。「おかしな娘だ」と思いましたが 翌朝を 楽しみにして寝ました。起きて見ると あろう事か 家の回りは蝮Mamusiだらけでした。「狐に 騙され ひょうたくられた(からかわれた)」と 気付いたのです。やっとの思いで 蝮を退治した頃、偶然 又 あの娘に出会いました。男は 仇討ちをしてやろうと 思い「この前は 蛇を退治してくれて 有難う  家にいた蛇共は 皆で共食いして1匹の蛇が 動けない程 腹を膨らませていたので  好物の酒を 飲ませて 酔った所を 斧Onoで 首を切り落とし退治しました。  所で 娘さんの嫌いな物 は何ですか」と 狐に尋ねました。娘に化けた狐は いけしゃあしゃあと「油揚げが 大嫌いです。ベトベトして 見た目も良くないし 肥り易いでしょう  それに 甘いお酒も 肥り易いので嫌いです  好物は 美容に良い果物や 野菜です」と 答えました。「それ であなたは美しい 細身なのですね  蛇退治のお礼に 好物を 届けましょう」と 約束し、はじめ男は「しめた  これで狐に 蛇を撒かれた仕返しができる 用心に 眉髭Mayugeに唾を擦ってNisitteおこう」と 思い 勇んで家 に帰りました。ありったけの材料で 油揚げを 沢山作り 稲荷に出かけました。そこには あの娘が待っていました。油揚げを 見ると「ギャァ ゾゾが立つぅ」と 女狐は汚い言葉を吐いて  狂わんばかりに苦しんだのです。娘は「騙して悪うございました  蛇の事は お詫びいたします」と 命乞いをしました。男は「様ねぇ  もそっとあだくり返って苦しめ」と 言って 愉快そうに 高笑いしながら帰りました。男が 満足して帰って行くと 女狐は 嬉しそうに「蛇を集められる位なら 狸退治は 朝飯前だと 気付かなかったのかね  お馬鹿さん」と 呟きながら 子供達や 仲間を呼び集め 油揚げを 美味しく食べ、甘いお酒で 酒盛りをしたそうです。無実の罪 で酷い目に合った狸は 子子孫孫 仇を取りたくて 男の畑を荒してやろうと 隙を狙っているそうです。今朝も 男の葡萄畑は 被害を受けました。「三谷野呂の百怪談」   平成23年(2011年)9月3日

 

饅頭怖い(1)Scary Manju(1)

 暇をもてあました町の者が集まり 嫌いな物や 怖い物を 言い合っていました。「蜘蛛」「蛇」「蟻」等が 示されました。ある男が「いい若い者が くだらない。  世の中に怖い物 等ないわい」と 嘯きました。男の親友が「本当に 怖いものはないのか」と 尋ねると うそぶいたた男は 渋々「お前は 騙せん。  俺の事ぁ何でも知っておるけぇ。  本当ぁある。  饅頭じゃ。  饅頭と聞いただけで  吐き気がする」と 白状して 気分悪そう えづきながら自分の長屋に 帰って 伏せってしまいました。「いつも 強がって嫌な奴じゃ。  饅頭漬けにして 苦しめてやろう」と 言い、皆は 金を出し合い 饅頭を しこたま買い込んで 男の寝ている部屋へ ポンポン投げ込みました。びっくりした男は すっとんきょうな声を上げ  慌てふためいて「こんな怖体物Kyuotei-monぁ見えなくしよう。  そうじゃ。食べてしまやぁ  無うなる。  怖い 気持が悪い。 じゃが 旨い旨い。」と 言って 饅頭を 全部食べてしまいました。一部始終を 覗き見していた者達は「よくも 騙したな。  お前が本当に怖いものは何じゃ。」と 尋ね直すと「今は濃いお茶が 怖くなった」と 答えたとさhttps://ja.wikipedia.org/wiki/まんじゅうこわい」   

 

饅頭怖い(2)SCARY MANJU(1)

町内 の若い衆が  寄り集まって 世間話をしていると ある男が 顔を青ざめさせ 息を切らして 走って来て 震えながら「たたた助てくれ。  匿ってくれ。」と  頼んだのです。若い衆達は 男を取り巻いて「どうした。どうした 。何事が起ったのか。」と 男に尋ねました。すると 男は「饅頭屋が 後を付けてくる。恥ずかしい事だが 実は 俺は  饅頭が 怖くて怖くて 見るだけで気持ちが悪くなる。饅頭屋が 気付かない 処に匿ってくれ。」と 言うのです。若い衆達は「そうか。饅頭を見るのも 怖いのか」と 言い  男をひとまず 物置小屋に 隠してやりました。すると 悪戯好きの一人 が「可笑しな奴 だ。  悪戯 を してやろうじゃないか」と 言いだし  饅頭屋を 呼び止め 饅頭 を お盆に山盛りになる程 沢山買い込みました。饅頭屋の売り声が 遠のくと 物置小屋を 開け「饅頭屋からの贈り物じゃ。 喜んで食え。」と 山盛りの饅頭を 置くと すかさず戸を バタンと閉め 開けられないよう 背で押さえました。「ギャーギャー」と騒ぎ ブルブル震える音が していましたが  暫くして 物音が止みました。「さては 怖すぎて 狂い 気でも失ったか」と 思って戸を開けてみると 中の男は 饅頭を一つ残らず食べ終わっていて、口の周りのあんこを ぺろぺろと舐めながら「饅頭が見えなくなったので もう怖くはない」と 笑っていました。悪戯者が「なんだ饅頭好きだったのか。  本当は 何が怖いんじゃ。」と 尋ねる と 男は「本当は お茶が怖い. 渋いお茶が本 真に怖い」と 答えたとさ。   When the young people in town gather together to talk, a man came running with his face pale and out of breath and trembling。and he asked them “He He Help me and shelter  me”  The young people surrounded him and asked him, "What's wrong, What happened?"  Then the man said, "The Manjuu-ya“ sweet bun seller” follows me   It's embarrassing, but actually I'm scared of Manjuu and I feel bad just by looking at it and Keep me where the Manjuu-ya doesn't notice    The young people said, "So, are you afraid to see Manjuu?" and hid the man in the shed for the time being   Then a mischievous person began to say, "He is a funny guy, let's play mischief, shall we?", call Manjyuu-ya and bought a lot of Manjuu so that it became a mountain piling up in O-bon /tray    When the seller's cry of Manjuu-ya are far away and when he opened the storehouse and put a heap of Manjuu , while saying that "It is a gift from Manjuu-ya, please eat it cheerfully", the door was immediately closed with the back so that it was not possible to open  There were the loud noise with Gya-Gya- and trembling sound, but the noises stopped after a while   When they opened the door while thinking, "Well, he is too scared and he goes crazy, and he lost his mind?",,  the man inside has finished eating all Manjyuu And while licking the Anko”red bean paste” around his mouth and laughed while saying "I'm not scared anymore because I can't see the Manjuu,"    When the mischievous person asks, "you like Manjyuu, what are you really afraid of?", the man replied that I was really afraid of tea, and that I was really afraid of bitter tea 「.https://ja.wikipedia.org/wiki/まんじゅうこわい

 

甘い物が嫌い I'm not good at sweets


酒癖が悪く 意地悪な男が ある村に住んでいました。狐に酷く 騙されて 暫くは おとなしくしていましたが、三つ子の魂百までの例え通り、また 意地悪をし始めました。男の悪質な意地悪に困っていた皆が 集まり 奴の神さんから 奴の嫌いな物を 聞き出してそれを見せて 男を 懲らしめようと 相談しました。そこで 男の嫌いな物 を 奥さんに尋ねました。すると 男の奥さんは ポンと手を叩いて「甘い物が 嫌いじゃ」と 嬉しそうに 教えてくれたのです。そこで「酒を仰山貰ったので 酒の席を設け 心尽くしの肴を 用意した 。 飲みに来ねぇ。  奥さんも承知じゃ。」と 言って皆は 男を呼び出しました。男は「只酒(Tadazakeが 飲める。」と 思い 喜んで 出かけると、酒の肴Sake-no-Sakanaは 甘い物ばかりだったのです。これには 男も辟易Hekiekiしましたが、只酒とあれば 我慢して 勧められるままに 甘い物を 肴にして 酒を飲んだのです。当然ながら 甘い肴が 沢山余りました。皆は「遠慮無く 奥さんの土産Miyageに持って帰れば良ぇが」と 無理矢理 甘い物をごっそり持ち帰らせました。男は「あの狐より 質が悪い」と 嫌々 甘い物を 沢山持って家に帰ると、奥さんが 嬉しそうに待ち構えていました。甘いもの好きな奥さんの 推理がズバリと当っていたからです。男は 奥さんには 頭が上がらなかったので「かかあ天下」と 世間は言いますが、甘い物嫌いの檀那(さんの機嫌を損ねる事を恐れて いつも台所の隅に隠れて 甘い物を食べていたので 思う存分に食べられなかったのです。村の衆の心尽しのお土産ですから 檀那さんに 遠慮する必要は ありません。初めて 旦那さんの前で これ見よがしに じっくりと噛みしめて 甘い物を 堪能しました。男は嬉しそうに食べる奥さんを見ながら、むかつく胃の辺りを撫で 長い時間  込上げる黄水Kimizu(吐き気)に 堪えました。苦々過ぎた気分と 後に引いた 体の不調に 苦しむと「もう意地悪は 止めよう」と 決心したとさ。     平成23年(2011年)9月3日