鬼は内  In with the demon, In with fortune


  昔 昔  鬼が沢山 人の世界で 仲良く住んでいた頃、とても 貧しいのですが 心の優しい 百目鬼Doumekiと 言う男の家族が 住んでいました。貧しいと言うだけで「百々目鬼 百々目鬼 小泥棒」と さげすまれていました。また 鬼達は 人間より 社会的地位が 低くみられていたので 節分の時には 悪役にさせられていました。百目木の家は 貧乏で 節分の時に 撒く豆もなかったのです。家族は 幸せそうに 豆撒きをする声を、囲炉裏を 囲んで  安くて粗末な渋いおを 飲みながら聞いていました。そこへ お客が訪ねて来ました。戸を開けると 鬼が 豆を投げつけられ 逃げて来たのです。「この家では 豆は撒かんのか 有り難い  一休みできる  追われて長く走ったので 喉が渇いた  お茶を一杯 頂けないか」と 言うので 苦情を言われるかと心配しながらも 渋を注いでやりました。ところが「渋くて疲れた体に良い」と言って感謝してくれました。そうこうしていると 又客が来ました。やはり鬼でした。「喉が渇いた  お茶を飲ませてくれんかのう」と 言うので、渋茶を注いでやりました。この鬼も「疲れた体に渋茶は良い」と 感謝しました。名前に鬼が付いているが 気に入ったのか また……村中にいた鬼が ドンドン集まって来て 渋茶を所望したのです。鬼達は 何やら相談をして、一斉に 家を出て行きました。暫くして、一斉に 帰って来ました。

身体は 豆の跡だらけで、痛々しい形Nariでした。手に手に  食べ物や 酒 豆等を 持っていました。魚を持ち帰った鬼は「魚屋の家から 貰って来てやったでぇ  盗む 真似をしてくれと 頼むので まねしてやった  わしの悪さ振りに 魚屋の坊主は 豆を撒いて鬼が 悪さをしているのを 豆でやっつけたと 言ってえらく喜んでいた  息子を 喜ばしたけぇ お礼じゃと 言って店の親爺Oyajiがくれた」と 自慢げに話しました。酒を持ち帰った鬼は「酒を 名主の家からもらってて来てやった  名主の家は 鬼が戻ってくれたので  もう一回豆撒きが 楽しめらぁと  孫が大喜びじゃた」と 嬉しそうに話しました。また また また・・・・・鬼達は「皆で持ち寄った物で 豆撒きをして その後 宴会じゃ」「そうじゃ そうじゃ  福は内ぃ鬼も内ぃ」「良い気分じゃ」「鬼は内  ハッハッハハア ハッハッハッハッハ  酒の後の渋いお茶は  疲れも取れて 頭もスッキリすらぁ」と 歓談し 百目鬼の家は 幸せな声で 満ち溢れ(ました。鬼と友達になった 百目鬼の家族は 鬼達がくちこみで 言い広めたので 渋茶が良く売れ 次第に豊かになりました。それで 百目鬼の家族の節分では「福は内 鬼は内」と 豆撒きするようになりました。「三谷野呂の百怪談」  平成24年(2012年)2月9日