西 お筆の怨み Resentment  of miss O-Hude

「おふで」と言う美人がおりました  夫は博労で 市の日は 何時も 留守にしていました  男好きの「おふで」は 夫が市に発つと 男遊びにふけっていました  度重なると村の評判となり それを 耳にした夫は 市に行くふりをして 見張っていると 村の噂は 真実でした  「おふで」を 信じていた夫は 逆上し 間男の頭を斧で割り、おふで に鉈で切りつけました。おふでは「勘弁してと願うのに殺すのか  あの世に行かず恨みをはらす」と 言って息絶えました  おふでの埋葬地を所有した者は不幸に見舞われるそうです。「村人口伝」

大沢のおふでみさき Ohude-Misaki "The soul of a man who died with a grudge" in Oosawa ''

吉備中央町「西」に苔むす おふでさんのものとされる墓があります。お金をたくさんためていたらしく、ある夜の事、何者かに殺されました。見ると恨みに満ちた恐ろしい顔をしていました、住人がいなくなると 家は朽ち果て 跡形亡くなりました。その後を暫くは耕す者はいませんでした。時が経「おふで」の事が 忘れられると、たんぼになりましたが、その田圃はどんな努力をしても良い作物は 採れませんでした。そればかりか 田圃の耕作者は 大病に掛かったり 大けがをするので 誰も耕作しなくなり、今でも誰も手を付けないので「おふで-みさき」と 呼ばれ 荒れ放題


お筆の怨み RESENTMENT  OF MISS O-HUDE

何時の時代の人だか 解らないのですが、身寄りのない「お筆」と言う人が 西地区の大沢 に流れて来て、住み付きました。お筆は 山に入り、栗を拾ったり 山草を採ったり 薬草を集め て売って生活を していました。出来るだけ 生活を切り詰め、こつこつと 小金を 貯め壺に 入れ、誰にも知られないよう 秘密にして 隠していました。だから 誰も お筆が 小金持ちだと 知らなかったのです。お筆 は毎日、夜になると こっそり隠し場所から出して お金を 眺め、お金の数を 数え 総額を 紙に書いて 壺に収納するのが 楽しみでした。そんなある日、突然に 大雨が 降りだしました。すると 何者かが お筆の家の前を通り掛かり、明かりの点)いた家が あったので、雨宿りさせ て貰おうとして 軒下に 駆 け込んで来ました。余りに激しい雨だったので 軒下に居ても 雨宿りに成りません。何者かは 戸を叩く時間を 惜しんで 許しも得ず 戸を開け 家の中に 飛び込んだのです。大風が 家に入り 金額を書いた紙が 侵入者の顔に 張り付きました。それを見た 侵入者は その意味を察し とっさに お筆を 襲いました。お筆は「大雨だから 誰も来ないだろう」と 思って この日は 心張棒を 掛けるのを 怠っていたのを 悔やみ、お金を 守ろうと 壺を 抱き抱え 侵入者を 恐ろしい顔をして 見返しました。侵入者は お筆の敵対的な目を 見て 反射的に 切り掛かり お筆を殺し お金を 壺ごと盗んで 大急ぎで 逃げ出しました。大雨が 喚き叫んだ お筆の抗う声 を消し、又 犯人の逃走経路の足跡を消したので 事件の発覚が 遅れ 犯人は捕まりませんでした。爪に灯をともすようにし お金を 貯めたのですから、それは言葉に表せない程に悔しかったのでしょう。お筆の死に顔は、恐ろしく無念の表情をしていました。それを見つけた村人達 お筆の表情に 震えを 感じ、祟られるのを 恐れてお筆の遺体を 粗末に扱い ともか く急いで 埋めました。強欲な お筆に 好意を持っていなかったので その後の事など 誰も気にする者は いず、墓の跡は 荒れ果て 墓があった形跡さえなくなり、何時の間にか 田圃にされたのです。お筆の遺体を 粗末に扱った祟りなのか、その田を 耕した者は 不思議な事に 必ず大病を患ったのです。恐れをなした 村人は 寺の住職に 相談すると、住職は 古い記録を調べ お筆事件を見つけました。それを聞いて 村人は新しい祠を建て、お筆を祀ったのです。するとお筆の祟りはなくなりました。恐ろしい話です。「賀陽町史 お筆御崎」「村人口伝」を基にした物語

お筆御崎: 西区大沢の高速道賀陽インター入口を ガードレールの間から 見ています 小さい川があり、川の奥手 北緯34度48分32秒東経133度41分9秒に 「おふで御崎」は ありました。小川に 沿い約10m進むと「ひいたか池」の土手の奥端に向かいます。昭和の終わり頃までは、お筆御崎を 数軒の村人 守っていましたが、時代が流れその地を守る人が いなくなりました。すると  難波さんと言うお婆さんが 自宅に移し 祀ったと言われます。現在は元西地区の大沢に苔むす祠のあった場所は 草木で 茫々に なっています。 おふでみさき:著者と大きく異なる伝説が「岡山「へおの町」の民話岡山県吉備中央町の採訪記録 立石憲利 吉備中央町図書館 吉備人出版p157」に載っています      平成23年(2011年)8月27日