納地 日切堂の女妖怪 Female phantom-monster in Hikiri-dou hall


 484号線から  一ッ木で 産業廃棄物最終処理場を 経由し 黒土北線(305号線)に 向かい、黒土北線に沿い  馬頭観音石像等 を見ながら北に 向かい 納地寺尾脇1339番地や 納地有広1339番地の西の分岐を 左に折れ 道なりに カーブして  黒土北線に平行して 西に向かうと 納地槇ノ乢1322番に 出ます。その北 北緯34度50分18秒東経133度42分3秒に 日切堂が 建っています。堂内には 4組の仏が 祀られます。境内には「ありがたや 松原山の大師堂 ひきりに叶う願いうれしや」の 歌碑が立っています。期限を切って 願い事をすれば  叶えられたのでしょう。この話を聞いた 某地の貧乏で 不細工な お頭の弱い どケチな 糞まじめの他 取柄Torieが 何一つない 男が 日切堂に 通い始め、周囲の草を刈り お供え物を供え 仏の塵払いを 丁寧に続け 曲りなりにも 教を唱えました。仏達は その信心ぶりに 感激し  願いを何でも 叶えてやることにしました。仏達が 男に「願いを申されぇ 」と 気を送ると 男は 気を感じ 恐る恐る「貧乏でここに参る費用もままならんけぇ  分限者にしてちょうでぇ」と 願うと 地蔵菩薩が「易ぃ事じゃ 地から生まれるように 富を与えよう」と 約束しました。それを信じ 糞まじめに 地を耕すと 今までにない見事な作物が 採れ 高く売れたので 見る見る内に 分限者になりました。分限者にると お世辞を言う者も出て来て お金に 群がるのですが、やる事が 的外れなので 陰では相変わらず 馬鹿扱いされました。

日切堂に 参って作法に従い「馬鹿扱いされようんよう 知識ぃ授けてちょうでぇ」と お願いすると 弘法大師が「易ぃ事じゃ」と 言って百科事典程の知識を 与えました。富と知識を 馬鹿にしていた人達に 知識を見せびらかすと 人々は前にも増してお世辞を 言って近づいてきました。しかし 余りのぶ男故に 嫁になろうとする女性は 現れ ませんでした。こんどは 男は 日切堂に「上男にしてちょうでぇ」と 頼むと 仏の一尊が 「易入ぃ事じゃ」と 言って 飛び切りの美男子に してやりました。富と 知識と 美をものにした男は もてにもて、選びに選んで アントワネット楊貴妃かと 思われるような美女達と 付き合いました。しかし どの女性も 直ぐに 贅沢を始めるので どケチの故に 付き合いを止めたのです。今度は「私にだけに尽くし 私を 幸せにしてくれる美人を 妻にしてください」と 頼むと双体佛は「易ィ…」と 言いかけて「男女の仲の良さだけなら易ぇが、お前様の願やぁ 度が過ぎるとる  皆と相談するけぇ ちいとばぁ 次の日切の日迄 時をおくれぇ」と 言うのです。男が 帰路に着くと仏達は 相談しました。「楊貴妃やアントワ―ネットを 越える別嬪なんぞ  居らんぞな  居ったとすりゃ 妖怪位じゃ」「あ奴は 人間の嫁とは 言わんかった のう  妖怪でも良かろう」「玉藻前か 雪娘か  それとも 絡新婦か 更科姫かのう」「おえんおえん  歴代の美女妖怪ぁ  誰一匹 夫を幸せにせん」「じゃぁじゃ  仕方がねぇ 新しい妖怪ぃ作ろう   彼奴の脳味噌ぅそのまんま妖怪をにするのはどうじゃ」「そりゃぁ良ぇ そうすりゃぁ 奴の思いのままの妖怪になろう」「彼奴の願いは キリがない   次の願い 一つで終わりにしよう」と 相談が まとまりました。男が 参って来ると 仏達は「お前様の願いは これ一つで 全て叶えたことになる  じゃが わし等 仏にも 見落としが あるかも知れない   あと一つだけ願いを叶えちゃろう  それ以上の願いゃ 叶えられん」と 声を揃えて言いました。男が家に戻ると、雪をも上回るような白い肌で マシュマロを 上回りそうな柔らかい肌を持つ 小野小町や クレオパトラを上回りそうな 美しく 官能的な娘が まめまめしく家事をしながら待っていました。男は「仏様に 授かった娘じゃ  非の打ち所など ある筈がない」 と言って嫁にしました。これと 言った贅沢もせず 貞節で 料理上手の働き者で、何かを 頼もうとすると  あたかも頼みを 先んじて 知っていたかのように 痒い所に 手の届く良くできた嫁でした。始めの内は 嬉しくて 嬉しくて 仕方ありませんでしたが、次第に 余りの糞まじめな 従順さが 鬱陶しくなってきたのです。「こねぇな詰まらん 手応えの無ぇ幸せ過ぎる生活ぅ 終わらせて 欲 しい」と 願って日切堂に向かとおうとすると、嫁は それを 前もって察知したかのように 玄関で 待っていて 「うちぃお嫌いなったんですか」と 尋ねるのです。もう こんな事が 何回続いたか 解りません。妻の行為を 止めさせる事ができず、次第に 食も落ちて行き 遂に命を 縮めてしまいました。仏達は「何で 知恵を授けてくれと 願わなかったんじゃろう  智慧さえあれば‥‥   知識だけで 智慧を使わなけゃぁどねえにもなるもんか」「どケチを 直してくれと なぜ頼まなかったんじゃろう  どケチでなけりゃぁ‥‥」「自分で 自分を制御出来ん 糞まじめさも 問題じゃ  それが出来れば もう一つ願いを叶えてやれたのに」「わし等は 未だ如来じゃぁ無ぇから  ちぃとの失敗ゃ 許してもらえるじゃろう」と 話し合ったとさ。 「吉川布郡の村人との冗談話」を基にした物語    地蔵菩薩:万物を育てる大地のように 持つ 慈悲の法力で 全ての人を 救います 弘法大師:唐に渡った空海は 、当時の最先端の技術や知識を日本にもたらしました 双体佛:猿田彦命天鈿女命夫婦を 模した仏で 道祖神 子授けの神 夫婦円満の神等です 両神は 天孫降臨の折り出会い共に 天孫を 葦原中国へ導き、後に 夫婦となり 激しく営みます。 〆ノ神:納地1366番地 念佛石:納地1383番地 寺脇:納地1414・1416・1417番地 日切:納地1491番地 堂風呂:納地1496番地  平成29年(2017年)8月30日

 

平成31年(2019年)3月31日に【岡山「へその町」の民話 追補版-岡山県吉備中央町の採訪記録 立石憲利 吉備中央町図書館 吉備中央町教育委員会】が発行されました。P58に「八尺べろ」と言う日切にでる欲張り者を 舐め殺す妖怪が 紹介されています。