和田  上組大原池 Oohara-ike pond  managed by Kami-gumi "upper site group of community"


大正13年、加茂川地区を 旱魃Kanbatuが 襲いました。和田上組Kamikumiの村も、飲み水にも困る程だったそうです。しかし 大堀田は 水が涸れなかったので、村人は そこに池を 掘り 飲料水を 確保しました。木を刈り 積み上げて、素盞鳴神社Susa-no-o-jinjyaの山の和田大山(青木の山)の頂上 で燃やし、雨乞いしました。天に 届きそうな 炎だったと 言われます。しかし 雨は 降りませんでした。村人は やむなく 一枚でもいいから 稲を 植えようと相談し 共同で田植えをしました。こうして 水不足に 対処し 天災を 乗り越え 雨が降るのを待って 皆が 稲を植える事が出来たと 言われます。この旱魃を 機に 小さかった 大堀田池を 大きな大原池に 増築する事になって、村総出で 千本突き 即ちヨイトマケをしたそうです。「和田の村より人口伝」

 

上組大原池物語 story of OOHARA-IKE POND  MANAGED BY KAMI-GUMI

大正13年、岡山県を 大旱魃が 襲いました。和田上組の村の田は 干上がり ひび割れ、稲の成長は 止まり 殆んど 収穫できず、飲み水にも 困りました。しかし 大堀田の地は 水が 涸れなかったので、村人はそこに 池を掘り 飲料水を 確保しました。待てども 待てども 雨 が 降りませんでしので、残る 手段は 神頼みだけと なりました。 酒と 少しの質素な肴を 用意し、初穂料を 集め 上組荒神社に 素盞嗚神社の宮司を招き、村人は 集まり 神酒一杯で 身を清め、素盞嗚神社から 頂いた護符を祀り、祝詞Noritoで 荒神を なだめました。昼食時には 神酒2杯と 肴を頂き、村の田から 田に 笛と太鼓で 囃し 獅子を舞わせ「雨を賜れ 巳神殿雨を給われ 巳神殿」と 唱え 伊吹男神に 雨乞いしました。3日経っても 雨が降らないので、中の1日の 酒宴を開き、翌日から 龍田神社に 参り 同様の雨乞いを 続けましたが やはり 雨が降らず、再び中の1日と称して酒宴を開きました。今度は 素盞嗚神社で 雨乞いをしましたが、3日経っても 雨が降らず 千貫焚きをする事に なりました。素盞嗚神社の裏山の 和田大山の頂上に 村人は 藁wara 豆殻 籾殻Momigar a等を 持ち寄り 木を刈り 積み上げ燃やし、素盞嗚神社の宮司の司る中、神輿Mikosiを 担ぎ 鉦や太鼓や 笛で囃しならして 雨乞いしました。乾き切った木は 一気に燃え 天に届きそうな炎と 煙は 空高く舞い上がり 雲になるかに 見えました。しかし 雨は降らないので 何度も何度も お願いしました。すると村の娘に 神憑りKami-gakari、龍の眼光を放ち 体中に鱗を蓄え「汝らに は大堀田の池が有り、幸いに 我妻 櫛稲田姫が 汝らに 僅かながらであるが 種籾を神殿に 齎した  汝等の強い信仰に 必ずや 恵みを以て 答えるであろう」と 素盞嗚命の神託を 告げました。村人は 神の言葉を信じ 神憑り娘を 先頭に立て、僅かの種籾を たった一枚の田に 共同で 田植えをし 終えました。すると 雨が降りました。村人は 喜んで 雨降り正月と称し 飲めや歌えの酒宴 を開き、一斉に この日は 農耕を休み 雨祝いを しました。この年は 木の根 葛や蕨の根 草の葉 毒抜きした彼岸花を 食べ、病気に 成ると 素盞嗚命に 縋りSugari 村人は 命を長らえました。翌年には 一枚の田で 収穫した種籾と 育麦蔵から借りた 籾を使い 皆が田植えをする事が 出来ました。この旱魃を 機に 大原池を 増築する事になって、村総出で 千本突きをし 2年をかけ 完成させました。「和田の村より人口伝」を基にした物語    中の一日:祈祷の中日 大堀田:和田700・701・705・816-827・908・909番地 大山畑:和田650-656・661・663・664・666-668番地 和田大山の頂上:和田 北緯34度53分30秒東経133度43分59秒 元牛頭山宗林寺跡 現牛頭山観音堂   素盞嗚命:災厄除けの神様 農業紳 疫病神 武神 和歌神 海原の暴風の神 海の龍神    櫛稲田姫命:霊妙な稲田の女神 夫婦円満の神 祇園社の后神等 素戔嗚命の妻    育麦蔵Semikura不作の時 種籾を農民に貸し付け、収穫した折に 返却させる 江戸時代の制度 江与味 を含めた加茂川地区には 24施設ありましたが、大正3年の時点で 廃止  和田の育麦蔵がどこにあったか不明です    龍田神社秋葉大明神:北緯34度53分24秒東経133度44分12秒 祭神は天御中主神Ame-no-Minakanusi-no-kami (宇宙の創造神)  罔象女神Mizuha-no-me-no-kami(水神)   五帝龍神(水神)    和田上組の荒神社:和田地域の北緯34度53分13秒東経133度44分35秒 祭神は伊吹之男神Ibuki-o-no-kami  日本武尊を伊吹山で病死させた大蛇        平成23年(2011年)8月1日

 

3月31日に【岡山「へその町」の民話-岡山県吉備中央町の採訪記録 立石憲利 吉備中央町図書館 吉備人出版】が 発行されました。P346に「千本突きで池造り」と言う民話が 載っています。「加茂川町史続編P154~P156」に 大原池の旱魃対策行事について詳しく 記載されています。