大師 安蔵と狐 Friendship between Yasuzou and fox


奥の奥山の山間に 住んでいた安蔵の家族が、川魚を 干していると 女狐が 盗て逃げようとしました。捕まえると 女狐は「子供達は食 べ盛りなのに、今年は 餌Esaが 捕れないで 痩せて来ました。それで 仕方なく盗もうとしたのです。  堪えください。」と 懇願するのです。山の中の田畑では 作物は 少ししか取れません。食べ物の不自由を 良く知っていたので、同情し 許してやり 朝食の残り物を やったのです。狐は 感謝し  お礼に 山菜や 薬草や 栗を 持って来ました。持ちつ持たれつの生活をする内に 2つの家族は 大の仲良しになったのです。貧しい安蔵には 沢山の借金がありましたが、収入が乏しく 払えません。下の村から 借金取りが 毎月 決まった日に来て、安三の家の前で「金返せ」と 怒鳴っていました。また その男が 山を登ってきたので、母狐は 可愛い娘に化けて「お酌のサービスをするから 町で 一緒に 飲みましょう」と 誘い 借金取りが  安三の家に向かうのを 邪魔しました。借金取りも 曲がりなりにも 男ですから、見目麗しい女性には 弱く 邪Yokosimaが 頭を過りyogiri 誘いに 乗りました。男は 娘を酔い潰させようと 美味い酒と 旨い肴をドンドン注文しました。男が飲み比べをしようと切り出すと 娘は 喜んでグイグイと 濃い酒を 飲み干しました。男が仕方なく 同じ濃い酒をがグイグイ飲み干す 度にいくら 飲んでも酔わない娘は 色っぽい仕草と 艶のある声で 返杯しました。鼻の下を伸ばした 男は 調子に乗せられ ついに酔い潰れました。それを 確認した所で 娘は飲むふりをしながら溜めた 酒の入った袋を 持って消えたのです。男が 目を覚ますと 酒屋に「見事に 狐に騙された」と 大笑いされました。次の月も 借金取りが やって来ました。また あの女が出て来て 町へ 誘うのです。今度は 狐を痛めつけて 楽しもうと思いました。「この山道をか。弱い女が 歩くのは大変じゃ。 笹百合(の様な 華奢Kyasyaな女が 疲れるのを見るのは 忍びない。 負ぶって差し上げましょう。」と 紳士ぶり 娘を 背負ったのです。すると男は 途端に乱暴になり「もう逃がすものか」と 言って、逃げられないよう 手をしっかり持ちました。娘は「下腹が 強く圧迫されています。 オシッコが 漏れそうです。  厠をさせて。」と 頼みました。狐のオシッコは とても臭い事を知っていたので 小便を 掛けられては堪らない」と 思い娘を下してやりました。娘が 茂みに隠れ 尻を出し オシッコを し始めました。男は 見たい気持ちを 抑え それで も逃げられないようにと しっかり手を 握りあらぬ空を 向いていました。娘は 手を強く握り返して来ました。狐と判っているとは言え  可愛い年頃の女に 手を握り返されたので 悪い気はしません。余りに 長い小便に呆れ 振り向いてみると、男の手は 立ち木に 括られていたのです。又 狐に化かされたと 解り、腹が立って 追いかけると 切り株に 躓き 足をくじきました。「何だか 暖かく柔らかい株だった」と ビッコを 引きながら 村に帰って行きました。足の痛みも取れ、次の月にも 借金取りが やって来ました。すると 小さい坊やが 道端で 苦しがっていて「腹が痛い」と 言うのです。見ると 安蔵の孫に 似ています。しかし安蔵の孫にしては  顔は細く 耳が大きく 細身過ぎる上 獣のような悪臭があるのです。「狐の奴が また騙しているぞ。  今度こそ 騙されるものかと。」と 息子を 縛り上げ、肩に 担いました。孫が「苦しい  ウンコが出そうじゃ.」 と 言いましたが、男は「その手は2度と食わないぞ。」と 安蔵の家にそのまま向かいました。孫が「痛い 痛い」と言って暴れると男は「煩いurusai 動くな。」と 更に 強く締め付けました。孫が「うーん」と 言って臭いオナラをした後 静かになりました。男が 安蔵の家に着くと 孫を 玄関に放り投げ「金返せぇ これからは 狐に 邪魔させるな。」と 大声で 呼び出しました。死んでいる孫を見て、安蔵は 嘆いて 孫にすがりつき、悲嘆の涙を 流したのです。死ねば 狐に 戻っている筈の孫が 男の子のままだったので 男は「もしかすると 本物の安蔵の孫かも知れん。さっきのおならは いわゆる 狐の最後っ屁だと 思っていた 。 安蔵の孫は 良く狐の子と遊んでいたので狐の臭いが 移っていてもおかしくない。」と 思いました。そこへ 婆さんが 騒ぎを 聞きつけ畑仕事から 鍬を担い 戻って来ました。様子を見て一切を察すると「孫の仇じゃぁ  殺してやる。」と 物凄い表情をして、鍬で 襲い掛かったのです。男は 逃げました。川が ありました。「川を泳いで逃げよう。」と 川に入り泳いだのです。何と婆は 川の上を 走って追いかけて来るではありませんか。やっと 川を泳ぎ切りました。角を曲がると 運良く番所が 有りました。番所に 駆け込み「助けてくれ 殺される。」と 助けを求めました。ところが その番所の駐在は 安蔵の息子だったのです。「お前の息子を そいつが殺した」と 婆が 叫びます。「そうか 許さん」と 息子も 加わって 追い掛けました。それまでに 散々婆に追いかけられていた男は すでに 息も絶え絶えでした。追跡者が 若い駐在に代わったので、アッという間に追い付かれました。「助けてくれ 借金は 反故Hogoじゃ。何なら 蔵の財産もやる。仏の道に入り 子供の供養もする。」と 泣きながら 懇願しました。すると 間良く 松本坊の和尚が どこにいたのか 突然に 出て来ました。男は 和尚に 縋り付きました。和尚は「解った 匿ってやる。安蔵の家族には よう言って 聞かせるので 安心しなされ」と 言って、安蔵の息子と 目配せし 寺に 連れて行ったのです。男は 和尚に「早く頭を剃っ)てくれ。」と 願いを 繰り(返しました。和尚は「良い心がけじゃが 今剃刀kamisoriがない。髪を 毟り抜いても良いか」と 尋ねました。借金取りは「かまわん。 早く 坊主頭にしてくれ。」と 泣いて頼んだのです。和尚は 男に 借金の反故と 財産分与の証文を 書かせました。頭は 毛を 全部毟られて 真っ赤になりました。

痛い頭を擦りながら 安蔵の家に 向かうと、番所は無く 川は 薄原Susuki-no-haraの草波と なってました。安蔵の家に着くと 門構えが違い、孫が 狐の子と仲良く遊んでおり 狐の父母と 安蔵夫婦が 談笑していました。男は 苦笑いして 家に 帰って行きました。それからは、借金取りの男は 強欲を止めたので お金に困った人は 安い利子で お金を借りられ喜んだそうです。     平成23年(2011年)9月4日

 

狐の恩返しGrateful fox:

ある所に 爺さんが住んでいました。畑に 豆を撒き 秋に収穫し 束ねて 畑で干していると、だんだんと 豆の束が 少なくなってゆくのです。「さては 豆泥坊が いるのだな」と 思い  物陰で 待ち伏せすると やせた女狐が 豆の束を 咥えて 持ち帰ろうとするので 首根っこを 掴み 捕まえました。爺さんは「この悪たれ狐が 狐汁にしてくれる」と 狐を責めると、女狐は「私には5匹の子供がいます  この秋は 食べ物が無く 子供たちが ハラぁ減った  ハラぁ減ったと 辛がるので 悪いと 知りつつ盗みました。父狐は 餌を探しに行って 猟師か 狼に 殺されて 帰って来ません。私が居ないと 子供たちが 死にます。どうか 堪忍してください。」と 手を合わせ 泣いて 許しを請うので「そうか 子供のためにか。」と 言って 許してやりました。母狐は「必ずこのお礼は 致します。」と 言って 豆の束を貰って 山に帰って行きました。次の日  母狐が 爺さんを 訪ねて来て「太鼓に 化けます。  町で売って下さい。」と 言って、立派な 法華の太鼓に 化けました。母狐が 叩いて見てください。」と 言うので 爺さんが 軽く叩くと 太鼓は「目出た目出たの若松様よ。ハァポッポコポンポン。」と 歌いました。爺さんが「珍しい太鼓じゃ。買わんかねぇ。買わんかねぇ。」と 町で 売り歩くと、歌を 聴こうと 子供も 大人も 後を付いて 来ました噂を 聞いた分限者 が買い  面白がって 歌わせ続けたので、声は枯れ 太鼓の皮も 緩んできました。分限者は「緩んだ太鼓の皮は 酒で湿らせ 干せば元に 戻る」と 聞いていたので、酒を 口に含みプーと 吹きかけました。太鼓は 叩かれた所に 酒がしみ痛いのですが  堪えて 干されるのを 待ちました。分限者が2階の手すりに 太鼓を干し掛け 下に降りると、太鼓は 狐に戻って5匹の子供の元に 逃げ帰りました。お金持になった 爺さんは 毎日油揚げを 買って狐の家族を ねて行ったとさ。狐の恩返し- 埼玉県の昔話 | 民話の部屋 (minwanoheya.jp)」          平成23年(2011年)9月4日