岨谷 大古屋 鬼も怖がるモリ Mori which orge is afraid of  too


 昔 昔 ある雨の晩 山で 木を切っていた岨谷大古屋の樵Kikori達が 森深い山小屋で  囲炉裏を囲んで  雨を凌ぎながら 世間話をしていました。その山に住 む鬼は その明かりを見つけ「何か食べとる  脅し盗ってやろう」と 思って 戸口の隙間から 中の様子を伺うと「わしが きょうてぇもんは 猪Sisiじゃ  あの牙を見ねぇ」「わしは 狼Yamainuが きょうてぇ  群れで 襲ってくるんじゃもの」「わしは 熊じゃ  一撃で殺される」等 と話し合っています。一番年寄りの者が「何うぇ言う 鬼に 決まっとろう」と 言いました。鬼は ここが 出番と戸を開けようとすると 一番がっしりした男が 急に震えだし「わしは漏りが きょうてぇ  こんな寒い日じゃぁ 剣に刺される程に 痛ぇ  鬼は 鉄砲で 撃ちゃぁ 何とかなるが、漏りにゃぁ 鉄砲も 屁の突っ張りにもならん  ほれ漏りじゃ」と 言うと 皆も震え上がり 天井を見上げて 隅に隠れたのです。

鬼が「あの怖がり方は なんじゃ  モリとは わしよりきょうてぇもんらしい」と 恐ろしさで 手が震えたので、思いがけずも 古屋の壁に当たり その弾みで 軒が壊れ上から何かが 落ちてきました。落ちてきた者は「キャキャ」と 騒ぎ 鬼の背を搔きむしりながら 駆け巡ったのです。鬼は モリに  襲われたと思い  何者かを 背に乗せたたまま  慌てふためいて  逃げ去りました。古小屋の中では「この小屋も ぼっこう古ぃ 雨漏りが 始まったと思うたら  軒が壊れて  猿の鳴き声が聞こえた  猿の奴 わし等の食べ物を 狙とったんかのう」「じゃぁじゃ  まずは漏りを 何とかせにゃぁ  夜もこせん」と 話していました。「岨谷槇谷ダムでの作業員より口伝」   平成28年(2016年)10月10日 


童話 ふるやのもり物語 Taje of  water leaku of Old house

あるボロボロの農家に 爺 婆 幼子と 馬が 一頭 住んでいました。この馬を 盗もうと 泥棒が 忍び込み  梁の上に 隠れていました。その時  狼も馬を盗んで 食ってやろうと 家に入り込みました。婆が 幼子を 寝かしつけようと 昔話をしていると、幼子が「泥棒や 狼より怖いものは いるん」と 尋ねました。すると 婆さんは「ふるやのもりじゃ  泥坊や 狼なんぞ 論外の恐ろしさじゃ」と 答えました。狼も 泥棒は 自分達よりもはるかに恐ろしい「ふるやのもり」と 言う 妖怪がいるのだと 思い込み 震え上りました。やがて 雨が降ってきて 天井から 雨漏りが 始まりました。婆が「ふるやのもりが来た  何とかしてぇなぁ 爺様」と 言うと 爺は「どぎゃんしょうもあるもんか  襲ってくるぅ  ワッ  冷てぇゾクゾク…すらぁ」と 大慌てして 家中を走り回りました。泥棒は「賊ぅ食うすらぁ」と 聞き間違え 驚いて足を 踏み外して  梁から狼の上に 落ちました。狼は「ふるやのもり」が 自分の上から襲って来たと 勘違いし、泥棒は 泥坊(泥んこになって)で「ふるやのもり」が 落ちるのを 待ち構えていたと  勘違いしました。狼は 山に逃げ帰り 隠れ場所を探して 走り回り、泥棒は 高い処なら安全と 思い木の枝に 飛び移にりました。ちょうど その木に 穴が開いていたので そこに 隠れようと 震える足を 穴に掛けると 足を滑らせ 泥棒は 深い穴の底に落ちてしまいました。一方狼は 仲間の動物達に「何ぃしょうるんなら  はぁ落ち着かれぇ」と なだめられて 正気に戻ると「どぎゃあもこぎゃあもあるもんか もんげぇバケモンに合うた」と 話すと、「そぎゃぁなきょうてぇやつが この辺を チョロチョロされちゃぁかなえわん  追い払おうじゃぁなかろか  化け物の住むとかぁ あの木の洞しかなかろう」と 泥棒が 飛び移った木を確かめにやって来ました。洞は 深く 中は暗くて 何も見えなかったので、怪しい洞には 何も居ないと思い込んだ 猿が長いしっぽを垂らし 探索すると、底にへたり込んでいた泥棒は 木の蔓と 間違えて さばり付いてよじ登ろり 抜け出そうとしました。驚いた猿は 捕まったら「ふるやのもりに 食われてしまう」と 思い、必死に踏ん張ると その瞬間にプッとしっぽが 尻の毛ごと 切れて 前のめりに 倒れ、顔をすりむいてしまいました。れ以来 猿のしっぽは 短く、顔も 尻も 赤いというのです.

nihon.syoukoukai.com/modules/stories/index.php?lid=45」 「hukumusume.com/douwa/pc/jap/10/15.htm」 を基にした物語

 

平成28年(2016年)10月10日