年神は良いもんじゃ Nothing is better than Tosi-no-kami


 昔昔、山深い村に「津根Tune」と言う青年がいました。頭の良い一人息子でした。隣村も酷い山奥で「蛍Kei」と言う、美しく優しい娘が 住んでいました。蛍は 一人娘で 頑固者の父親がいたのです。ある年のお正月に 津根が 神社に参った折り「今年は嫁様に成る人に 出会えますように」と お願いしていると、隣で「今年は、運命の人に出会えますように」と お願いしている娘が いたのです。思わず横目で娘を 見て、運命のときめきを 覚えたのです。

気に成りながらも 別れ 山門を 潜り 細い参道を 南に下って行くと、さっきの娘が 鳥居の脇で 下駄Getaの鼻緒Hanaoを 切って 歩けず 蹲っていました。声を掛け 手拭いTenuguiを 破いて 鼻緒を 直してやると、恥ずかしげなのですが 嬉しそうに「有難う」と お礼を言うのです。下駄を 履かせてやろうとした時、手と手が 触れた途端に、ビビッと 電気が 脳天に 突き抜けました。緊張の余り 声も上ずり 何かを言ったのですが、何を 言ったのか 覚えていませんでした。娘も 震える声で「蛍と言います 村の1番奥の家が 私の家です  神様のお導きに 感謝しています」と 言い残して立ち去りました。家に帰り 冷静になると「この機会を失 ったら、理想の女性に 2度と会えない」と 思う 気持ちを 抑え切れなくなったのです。「告白して、交際を断られたらどうしよう」と 拒み続けるような足を 引きずり 隣村に  出掛けると 途中から「娘は自分の家を教えたのだから 娘に好意が 有る」と 確信しました。すると 飛ぶように 足は 軽くなったのです。こうして 交際が始まり、二人は「結婚しよう」と 話し合う程の仲に なりましたが、蛍が 頼んでも 蛍のお父さんが どうしても「一人娘のお前は 嫁にやらん」と 言うのです。次の年の正月に 津根は 年始回りに 行くと、蛍の父親は「お前が泥棒猫かぁ  正月早々に 娘を盗り に来くさって  一人娘を やったらわしの家は 潰れらぁ  いなれぇ  正月早々 縁起もねぇ」と ケンも ホロロに 追い返そうとするのです。何度も 汚い言葉を ぶつけられた津根は 腹が 立ちましたが、蛍を 失いたくない一心で「神に誓って幸せにする」と 言って 耐えて 頼み続けました。その度に「何の神にじゃ  何か解らん神に 誓ぅても やらん  いなれぇ」と 粗い言葉を 返し 続けるのです。「この人には 強く信ずる神がいる 」と ハタと 気付いて 話題を変え「正月ぁ 良いもんじゃ  恵方様も見てくれてじゃぁ」と 言ってみると、蛍のお父さんは「じゃぁ 年神様ぁ 良ぇもんじゃじゃ」と にわかに 寛いだ様子に なったのです。

雪のお父さんの起源が 良くなったのに 気付いた 津根は 続けて「先祖霊の年神様 山ぁに居って、1年で年ぅ取って 爺さんに成って、正月に女見てぇに ナヨナヨ 山ぁ下って 来て、麓で待っている若ぇ年神と 交代して、家ぇ来て 家族ぅ 守って、豊作ぅ 約束して 稲ぇ育てて、秋にゃぁ 収穫が済むと 山ぇ帰って、山の上から 里の家族ぅ守ってくれるんゃ 歳神は良ぇもんじゃ」と 話すと、蛍のお父さんは「誰でも知っとる  しかもつまらん話し方ぁ態Wazaとしとる  こうじく者と自負しているわしが 年神様の事ぅつまらんとは 口が裂けても よう言われん それに 今日は正月じゃ」と 思ったので「本真Honmaじゃ  歳神は良ぇなぁ  せえでどうなった」と 言ったのです。津根は すかさず「その次の年も 年神様ぁ  山に居って 年ぅ取って 爺さんに 成って、正月にゃぁ 山ぁ下って来て、麓で 若ぇ年神と 交代して 家に来て、家族ぅ 守って 豊作ぅ 約束して 稲ぇ育てて、秋にゃぁ 収穫が済むと 山ぇ帰って、山の上から 里の家族ぅ守ってくれるんゃ 歳神は良ぇもんじゃ」と 話すと、うまく嵌めHamera)られた事に気付き、面白くもなく 腹が 立ったのですが「歳神は 良ぇなぁ せえでどうなった」と 言ったのです。そして「その次の年も・・・・・」と、話は 延々 と続けられました。どんなに頑固と 言っても、攻めの我慢は ともかく)、受け身の我慢には 限度はあります。蛍のお父さんは 思わず本音を吐いて「もう良ぇ 止めにせぇ」と 言ったつもりが「嫁 嫁 嫁 嫁 嫁」と 繰り返し考えていたので 舌が縺れmoyureて「もう良ぇ 嫁にせぇ」と 思ず 言い間違えました。すかさず津根が「ほんなら 蛍をもろうて 帰るが 二言はあるめぇのう」と 言うと、もともと 頑固者の蛍のお父さんは「言い間違えじゃ」と 言えなくて、がっかりして 頷きました。津根が「正月のお上様の話ぁ 良ぇもんじゃのう」と言うと、蛍のお父さんは 上手く話しに 乗せられまんまと 負かされたのでしたが、何か 清々しい気持になって「本真じゃぁ 良ぇ話じゃった」と 言いました。それで 二人は 夫婦になって 二つの家族を 良く纏めmatomeて幸せに 暮らし、沢山の子を 儲けmoukeて、それれぞれの家を 継がせたのです。二つの家族の1番の楽しみは 神社を詣で、歳神の話をしながら おせち料理を 食べる事だったそうです。目出度し。目出度し。「三谷野呂の百怪談」 「橡の実」「長崎の鼠」等 同じことを繰り返す物語は格好多くあります。 ある登山家が「なぜ、山に登るのか」と 尋ねられた時「そこに、山が有るから」と、答えたそうです。多くのマラソン選手は 走り終わった時「今の気持ちは?」と 尋ねられると「気持ちよく走れました」と 答えるそうです。苦しみが 加わると、苦しみを 和らげるために 脳内にエンドルフィンと言う快楽を 感じさせるホルモンが 出るのだそうです。苦しみが 去った時、そのホルモンが 達成感と称される快さを 感じさせるのだと 言います。蛍のお父さんも つまらない話を 散々聞かされ続ける苦痛から 解放された時、快楽を 感じたのでしょう。長い挨拶や、何を言っているか良くわからない長いお説教が 終わった時、 厳粛に快く感じた人は多いでしょう。 平成24年(2012年)1月14日

 

暦の表紙に女神様が書かれる訳 Reason why goddess is drawn on calennder cover


 昔、 歳神様が 子供さんやお孫さんの神様と  一緒になって お百姓さんのお米作り を手伝ってくれました。その子供や孫の神様は 「土を造る神様 土を耕す神様 外国からの新しい技術を持って来てくれる神様 外国の技術を受け止める神様 水の神様 水を蓄える山の神様 水を分けてくれる山の神様 水を撒いてくれる神様 小さい山の神様 大きい山の神様 稲を植える神様 夏の暖かい日差しの神様 稲を育てる神様 収穫の小春を齎す秋の神様 稔りの神様 稲を干す足場を造る神様 お米を食べ物にする神様 そのために煮炊きする竈の神様 竈の火の神様 作業する屋敷を護る神様 外から来る泥棒 等の悪者を退治する神様 一年の米作りを管理する神様 年神様を助ける神様 年神様を助ける若い神様 お米を買いに来る旅人を護る神様 天皇にお米を差し上げる神様 等」です。そんな多くの神様が 手伝ってくれると言っても、神様だけに 頼っていても 稲は作れません。いつどんな 作業をしないといけないか 昔の人は 良く解らなかったので、歳神様に「いつどぎゃぁな作業せんといけんか、解り易い暦をこさえてつかぁせぇ」と お願いしました。年神様は 「息子の日捲りHimekuriの暦の神に 命令して こさえさせよう」 と 約束しました。暦の神様は「解り易く米を育てる手順を 絵にして暦を こさえよう  そうすりゃぁ 字の読めない農民にも 手順が 解るじゃろう」と 思ったのです。暦を作って行く内に、お米作りに必要な神様が 足りない事に 気付きました。これでは 暦は 完成しません。そこで 父親の年神に 相談しました。年神は「しもうた 大国主は 肥料の神じゃが 肥料作りは下手糞Hetakusoで、おまけに だらずな奴じゃ  良く真面目に働く 肥料の神様を 産ませるのを 忘れておった そうじゃ  毎年わしと一緒に お正月に 祀られる厠kawayaの神様に 助けて貰おう  ウンコやオシッコは 良い肥料になるけえ  それに別嬪Beppinnさんじゃぁ  最初の表紙には 厠の神様を 載せてその下に 目立たんように わしを 書いてくれぇ  そうすれぁ 厠の神様も 気を良うして 喜んで 米作りにも 協力してくれよう  良ぇなぁ 憬れAkogsareno弁財天さんと 一緒に暦に乗るのは」と 言いましたそうな。それで、日捲りの暦の表紙の絵には 美しい女の人が描かれているのです。

七福神カレンダーでの 神々の内の 蓄財の神として 弁財天が 強調されるからです。写真はitem.rakuten.co.jp/tokucale/1000150/」   日本神話:大歳の神は 大山祇神Oo-Yamadumi-no-kamiの娘の神大市比売Kamu-Ooiti-hime(農耕紳食料紳)素戔嗚尊Susa-no-o-no-mikotoの間に 生まれた神です。両神の間の子には 宇迦之御魂神Uka-no-Mitama-no-kami(穀物紳 食料紳)が おられます。大年神と香用比売Kayo-himeの間の子に御年神 孫に 若年神がおり、これらの神々も 穀物紳 食料紳です。神活須毘Kamuikusu-bi(造化紳)の娘の神伊怒比売Kamu-Ino-himeの間には 大国御魂神Oo-Kunimitama-no-kami(大国主命:国土紳 肥料農薬神) 韓神Kara-no-kami(朝鮮国の神) 曾富理神Sohori-no-kami(新羅の神) 白日神Sirahi-no-kami(向日神筑紫の神か?) 聖神Hijiri-no-kami(日知神・暦紳)が おります。香用比売Kouyo-himeとの間の子に 大香山戸臣神Oo-Kaguyamato-mi-no-kami(僅かに光る山の神)がおります。天知迦流美豆比売Ame-no-Tikarumizu-hime(高天原の水の神)との間の子に 奥津日子神Okutu-hiko-no-kami(竈の神) 奥津比売神Okutu-hime-no-kami(竈の残り火の神竈女神) 大山咋神Oo-Yamakui-no-kami(日吉紳 松尾神:大きい山を持つ神) 庭津日神Niwatu-hi-no-kami(庭を照らす神屋敷神) 阿須波神Asuha-no-kami(足場紳屋敷神) 波比岐神Hahiki-no-kami(屋敷内外の神旅人の守護神) 香山戸臣神Kaguyamato-omi-no-kami(微光を放つ山の神) 羽山戸神Hayamato-no-kami(山の麓神)庭高津日神Niwatakatu-hi-no-kami(庭を照らす神・屋敷神) 大土神Ootuti-no-kami(土の神)がおります。羽山戸神と大気都比売Oo-Ketu-hime-no-kami(穀物紳食料紳)との間の子には 若山咋神Waka-Yamakui-no-kami(小さい山の神) 若年神Waka-tosi-no-kami(若い年神・農業紳) 若狭那売神Wakasana-me-no-kami(田植えの早乙女神) 弥豆麻岐神Mizumaki-no-kami(灌漑神稲作紳夏高津日神Natu-takatu-hi-no-kami(夏日の神) 秋毘売神Aki-bime-no-kami(秋の女神・稲作の神) 久久年Kukutosi-no-kami(稲の茎の成長紳) 久久紀若室葛根神Kukuki-wakamuro-tunane-no-kami(新嘗祭屋舎建築神)がおられます。「https://ja.wikipedia.org/wiki/年神」       平成24年(2012年)1月14日