福沢 猫の喧嘩  Quarrel between cats


 昭和の中頃、備前の国の福沢村の農家の 又兵衛(仮の名前)の牛小屋に 猫が 居付きました。猫嫌いの又兵衛夫婦は 性格不一 が 甚だしく 家庭内は ぎくしゃくしていました。猫が住 み着き 二人は 苛立ち 不仲の火に 油を 注いだのです。それで 猫は ろくに 食べ物がなかったので 痩せこけ 病弱でした。それでも 牛のお零れokoboreが  時々あるので 離れて 行きません。そんな 弱い猫にも守るべき領土があり 見回りに 出掛けると、必ず 隣で 飼っている 丸々と肥った猫に 追いかけられて 帰って来て 牛小屋の上登り威嚇していました。威嚇は しますが へっぴり腰で 戦おうとしません。隣の猫は 肥っているので 屋根に登れず、追うのを諦めて 帰って行くように見えました。 

そんな事が 続く内に 猫嫌いだった又兵衛は、自分の家に 懐いた猫に 勝って欲しいと 思うように なったのです。正月を迎へ、年神を 迎える 年棚に鏡餅 海産物 干し柿 等を 供え  汲川の若水で いれた茶を 飲みながら、年神に 無病息災を 願いました。ふと猫の 病弱が 気に掛かり、猫の健康もお 願いしてしまいました。良い初夢を見ようと 枕の下に 七福神の宝船の絵を 敷いて 眠りました。その夜 見た夢は 猫が福を齎す物でした。良い夢は 人に話すと逆夢になると 言われるので お上さんに 話したいのですが 話しませんでした。雑煮のnBuriを少し残すと、お上さんも 少し残すのです。猫に やろうとすると、何に付けても 夫のすることに 文句をつける お上さんも 一緒になって やろうとするのです。二人は 顔を見合わせ ニッコリと 笑いました。それから 二人は食べる物を 少しずつ 残して 猫に やりました。栄養が 付き 猫は 元気になり いかにも強そうに なりました。しかし いつまで 経っても 出かけると 必ず 隣の猫に 追い掛けられて 怪我をさせられ 家に 逃げ込むのです。強くするには 餌が足りないと思い、餌の量を増 すと みるみる肥り過ぎ 運動嫌いになりました。すると 隣に出かけなくなり、屋根にも 登れなくなりました。そこで 軒の下に 棚を付けてやると、猫は そこが気に入り そこで 休むようになりました。隣の猫が 近づくと、重い体を持て余しながらも 棚の上で威嚇し 追い払いました。弱い猫を 強くさせたいという共通の願いと その努力をした 又兵衛夫婦は この様子に 満足し 猫が取り持った縁で 夫婦は 仲良しになり、福々とした猫を 大切に養いました。「それでこの地を福沢と呼ぶ訳」ではありません。「福沢の村人の経験談」

猫の喧嘩:猫の喧嘩では ネグラにいる猫が 勝ち、高い所にいる 猫が 勝つ 決まりです。決まりを 破ると 喧嘩になり、決まりを 破った猫は ねぐらに逃げ帰り 反撃しようとするので 殆どの飼い主は 自分の猫が虐 められていると考えます。それでも 戦えば 勝つ決まりの猫の方が 有利なので 強気になり 無法者の猫を 怪我させます。猫同士の喧嘩で 大怪我をした時は、その猫は 猫社会の決まり事を 破った 無法者であると 考えてください。 猫による傷:猫に咬まれた時の傷は 小さいのですが、多くの場合 激しく化膿します  引っ掻かれると猫引っ掻き病になるかもしれません  そんな時は 軽症に見えても 直ちに 医師に相談しましょう。  平成23年(2011年)10月2日