広面 風穴と雨坪 Kaza-Ana and Ama-tubo "Wind caves and rain depression

広面には ドンドン山に 風穴(Kazaana)があり、穴から 大風が吹き出し 里を荒しました。風神社を建て 風の神を祀った所、災いが 去りました。「広奥の村人のより口伝」「加茂川町史」 雨坪には雨坪岩があり、大旱魃Dai-kanbatuの時 風神社から 神輿を 担ぎ出 し 火を焚いて雨乞いすると 雨が 降りました。「加茂川町史」  雨坪池、吉洋渕Kittyou-butiには 良く龍が 遊びに来て、昇龍山Syouryuu-zanから 天に 昇りました。「広奥の村人のより口伝」

 


雨坪の子龍物語 Story of  Child dragon in Ama-tubo

大正13年  日本全国 大旱魃Dai-kanbatuでした。岡山は雨の少ない地ですので 格別に被害が甚大でした。すると 琵琶湖に住む龍が 広面の水不足を心配して 子龍を背負い 加茂川を訪れました。あまりの旱魃に 呆れakire、あちこちに水脈を探し 池を 掘るのに夢中になって 子龍の事を忘れてしまいました。子龍は珍 しい棚田Tanadaの景色を見る事や 棚田に住む泥鰌(Dojyouを食べるのに夢中で 母龍の事を忘れ、どんどんと 山に入って行って 雨坪に迷い込みました。そこには 村の少年と少女の水太と 水代兄妹が、泥鰌取りにやって来ていました。子龍が 一生懸命 泥鰌を追いかけている その無邪気さが 兄妹には 微笑ましく 一緒になって泥鰌を捕りました。一人遊びしか知らなかった子龍も 嬉しくなり、時が経つのを忘れました。

日が暮れ兄妹が家に戻ろうとした時、子龍は 母龍と逸れたhagureta に気付きました。兄妹は 子龍の母を山の中や谷筋に探してやりましたが 見つかりませんでした。兄妹はシクシクと泣く子龍を 気の毒に思い、雨坪の大岩の 雨坪岩の隙間に 寝床を造ってやり 毎日 食べ物を 届けてやりました。その頃 村では 大事件が起こっていました。田圃が涸れ 稲が枯れ かかったので 水を盗り合い、村中の人同士で 喧嘩を始めたのです。兄妹は 大人の醜い争いに 悲しくなり、子龍に 話しました。子龍は「水ブニをすりゃぁ良ぇのに」と 言って 水ブニの仕方を 教えました。兄妹は この話を両親に話しました。両親は 村人に話すと 水ブニが 始まり 一旦は村は 平穏になりましたが、雨での降らない日が なおも続いたので 困った村人は「水ブニを 教えてくれた知恵者に相談しょう」と 言って、兄妹の両親に 頼んで、兄妹に水ブニを教えた人物を 聞き出させました。兄妹の父親から 子龍の事を聞いた村人は、龍が神通力を持っていて雨を降らせると 知っていたので、子龍に頼んで 雨を降らせて 貰おうとしました。子龍は頼まれ雨を降らせようとしましたが、龍とは言っても まだ子供です。未だ 神通力が使えないので 雨を降らせられませんでした。村人は「龍を怒らせると 雨を 降らせる」と 聞くと 龍の嫌いな汚い物を子龍の住処Sumikaの周りに 撒いたMaitaのです。すると パラパラと少しの雨が 降ったのです。村人は「怒らせ方が足ラりん もそっと怒らsとう  龍が一番嫌う 金気Kanakeぅ 撒こう」と 言って、村中から 赤金Akagane(銅)を 集めました。

兄妹一家は 銅で 田螺Tanisiや蝸螺Kawaninaが 死ぬ事を 知っていましたので、その夜の内に 雨坪に出かけ 子龍を 連れ出し 風神社の裏手の風穴岩の 穴に隠しました。毎日毎日 兄妹達は 水と 食べ物を持って子龍の世話を しました。雨坪岩の周りに 銅を撒いても 雨が降らないので、風神社の神輿Mikosiを 雨坪岩に 据えて  裏山のてっぺんで 火を ゴンゴン焚いて 神様と 一緒になって 雨を降らせてくれるよう 子 龍に頼みました、。しかし 雨は降りませんでした。ついに 子龍の世話に使う水が 兄妹達の手に入らなくなりました。龍は いつも体が 濡れていないと死んでしまいます。子龍 は体が乾き始めて 苦しくなって 泣きだすと、穴岩の穴で その声は 響き合い 大音量となって 大風に乗り 琵琶湖に向かって行きました。子供を失って 悲嘆の涙に明け暮れていた母龍は 子龍の声に 気付きました。子龍を 助けるために 琵琶湖の水を 持てるだけ持って 飛んで 迎えに来ました。風穴岩の前で 泣いている兄妹を見つけると「兄妹は怖くて 逃げるか 腰を抜かす」と 思いましたが 意に反 し兄妹は 母龍を 見つけると 急いで 母龍に向かって 駆け寄って行きました。「泣いておる子供達よ  なぜに 私を怖がらない  まさか 子龍の居所を 知っているのかい」と 尋ねると、水太は「ここにおる  死にそうなんじゃ  早ぅ助けてやって」と 頼み、水代は「お母さん龍が 来るのを ずっと待っていたの」と 泣きました。母龍は 二人で 可愛い子を守ってくれていた事に 感謝し 願い事を 尋ねました。水太は「直ぐに 子龍に水ぅやって  雨を降らせてよ」と 頼み、水子は「大人達ぁ 雨が降らんので 頭が変になって 子龍を苛めたんじゃ  雨が降ってりゃぁ苛めなんだ 大人達ぅ許してやって」と 頼みました。母龍は「可愛い坊や 出ておいで  優しくて良いお友達がいて 良かったね」と 声をかけると、子龍は「お母ちゃん  水太と水代ちゃんが おらなんだら 死んどったよ」と 抱き付いて行きました。母龍は「水太君と 水代ちゃんの願いは 聞いてあげるよ  余分に 水の種も 運んで来たから でも 私が 助けたと 言わんないでね  人間は 助けられると いつでも 助けてくれると思うて 怠け者になるからね」と 約束し 親子龍は 琵琶湖に 帰って行きました。すると雨になりました。その頃  雨坪岩では 雨が降り始めたので、風神社の雨風を司る2柱の神様の御利益に 大人達は 感謝していました。水太は 大人になったら、龍の住めるような 大きな湖を 造る仕事をしたいと 思いました。この旱魃で 米は 例年の半分の収穫しかなく、田一枚で一俵しか採れない地方も あって、米価が 高騰Koutouし 世は 乱れました。天災に 備えるため香川県の 豊稔池Hounen-ike 久米南町北庄神の淵池 旭川ダム等 沢山の溜池や ダムが作られました。子龍は 旱魃が 起るとやって来て 雨を降らせ、雨坪池や 吉洋渕池で 昼寝をして、琵琶湖に 帰って行きました。子龍が 飛び立った山が 昇龍山です。「三谷野呂の百怪談」   風神社と天坪神社:北緯34度49分18秒東経133度48分35秒 雨坪岩:北緯34度48分34秒東経133度48分48秒 盃状穴が銅山の試掘鉱風穴に向け彫られています  鉱山の安全と生産性を祈ったのでしょう   風穴:北五34度49分9秒東経133度48分42秒 胴の試掘鉱の様ですが 胴は採掘されなかったようです     鼓岩:北緯34度49分9秒東経133度48分46秒 吉備津彦命の軍司 鼓彦命が置き忘れた鼓が大岩になったと伝説されます    ドンドン山:北緯34度49分7秒東経133度48分47秒 風穴がありその上で飛び跳ねると ドンドンと 音がしたと 言われます   大高山・鼓山:北緯34度49分21秒東経133度49分53秒   小高山:北緯34度49分13秒東経133度48分5秒 大高山の添山    昇龍山:北緯34度48分57秒東経133度48分32秒    吉洋池・吉洋渕:北緯34度49分16秒東経133度49分3秒    豊稔池:北緯34度2分30秒東経133度41分3秒    神の淵池:北緯34度57分46秒・東経133度56分21秒    旭川ダム:北緯34度54分49秒東経133度51分24秒    水ブニ:水の分け前  溜池等の水を 田圃の大きさに合わせて 水を真配る(まくばる)方法で、田圃の広さに 比例させて線香を切り 火を付け燃えている間だ けその人の田圃に水を引きます  水の引き方は  同じにして 不正が 無いよう 皆で 作業を見張ります  線香を 乗せる器を香の盆、水のブニを香の水と言います     平成23年(2011年)8月23日