小森 池の原 見越入道 Mikosi-nyuudou "gradually heightening monster"


小森の山奥 池之原に 見越入道と言う 狐Kituneか 鼬Itatiが 化けたとか 自分の影が 化けたとされる妖怪が いました。夜に 一人で 山道を行くと、岩の上に  弘法大師の立ち姿をして 突然現れます。弘法大師は 偉大な人なので 岩の上に現れると 誰でもびっくりし 思わず見上げます。見上げると みるみる大きくなり、大師山の半分程の高さになる迄 ドンドンと 背が高くなります。高い所から見下ろすと、だんだん背が 低くなって 見続けると消えていなくなると 言われます。又 悪戯好きで 大師山に入り 道に迷うと現れ「道案内してやる」と 言って深い山の頂上に誘い 込み 道を迷わせ 喰い殺すぞと 脅し 人が恐怖するのを 楽しみます。楽しみが 終わると 山を下り 見下ろされて 小さくなります。この見越入道は 女性ののオシッコや ウンコをする所を 見るのが 好きな困った性格の妖怪で、主に 大晦日(Oomisokaに「見越し入道 ほととぎす」と 呪文を唱えると 現われ 福を齎しMotarasiます。大晦日でなくても  時に寒い夜に現れ、女性が ポットン便所を 使っていると そっと忍び込み、「尻拭かせろ」とか「尻拭こうか」と言い、冷たい手で お尻を触ります。ただ 欠点が 有って 一人でいる時だけに  現れます。それを聞いた、腕白坊主の二人が 大晦日に 呪文を唱え 見越入道を目の前に 呼び出し 懲らしめようと 相談しました。良く 見越入道 が現れるとされる所で 1人が 高い崖Gakeの上に隠れて 待ち伏せし、1人は 少女に 化け 俄かNiwaka造りの野壺Notuboを 大岩の横に 造り入って「見越し入道 杜鵑」と 何度も 唱え 待ち受けました。見越入道は 案の定 大岩の上に現れ「尻を 拭こうか」と 話しかけて来ました。コケシ程の大きさで 袈裟kesaを着、笠を被り、杖を持った 旅の修行僧の姿でした。岩の横のトイレにいた腕白坊主が、後ろに回られ尻を触られないよう 真正面に向かい合い  しゃがんだままで 見上げて大きくしました。大分大きくなり 大人の2倍位の姿になった所で 岩の下にいた 腕白坊主は 見るのを止め、今度は  崖の上の腕白坊主が 岩陰から 姿を見せ 見下ろして 小さくしました。「面白い 面白い」と 何回も 高笑いしながら 見越し入道を 大きくしたり 小さくしたりを 繰り返しました。見越入道は「しもうた 不覚じゃ  二人 居ったのか  わしは 一人しか相手にできん  崖の上にもいるとは 思わなかった」と 悔しがりました。もう 邪魔臭い女装をする必要の無くなった 腕白坊主は 身軽な姿に 戻りました。次第高が 逃げ出そうとすると、素早くその進路を塞ました。小さくされていた見越入道 は逃げるのを諦め(、腕白坊主共の好奇心が 治まるのを待つ事にしました。

今度は 上と下から 同時に見ました。見越入道の下から見られた脚は ドンドンと長く細くなり、上からみられた頭や 手は  短くズングリとした姿になりました。色々の見方をし  色々の姿に変えて  弄びMoteasobi  散散にからかいました。腕白達は「許すのも許さないのも、お前の心得次第じゃ」と 言って、見越し入道を 焦らせて喜びました。見越し入道は「まいった まいっ た  降参じゃ  もう悪さはせんけぇ こらえてつかぁせ ぇ 見下ろし続けるか、見越入道見越したと言ってちょうでぇ  そうすりゃぁいぬるけぇ」と 懇願しました。あまりに 苦しがるので  可愛そうになり 2人は上から 見続けて 消してやりました。それからは 大師に 見越入道は 現れなくなったので 女の人も安心して、おトイレが 使えるようになったのだそうです。しかし 今は大師に人が 住まなくなったので「見越入道が戻って来た」と 言う人がいます。女の人は 大師の山で ウンコやオシッコをする時は 気を付けよう。「三谷野呂の百怪談」  大師山頂上:小森と江与味の村境   大師山トンネルの江与味側口から南西 小森天津神社の北西 遥か遠く 北緯34度56分21秒東経133度47分56秒    元大師集落:森天津神社から 西の遥か遠く 大師山トンネルか ら南南西の遥か遠く 北緯34度55分48秒・東経133度47分48秒    小森の池の原:小森トンネルの北北西の方向、遥か遠く 小森の天津神社の遥か西の山の中 北緯34度55分42秒東経133度48分2秒 池の原と呼ばれる理由は、昔 ここで死体を埋めた 共同墓地であったので、生け野原 あるいは 生贄の原と 呼ばれたのが 始まりだそです。豊野の池の原に似た伝説です  江戸時代中期までは 庶民の墓を立てる事が禁じられ、屍は 共同墓地に 葬られるか 風葬されました  埋める事や 水等に放つ事を生ける と 表現します 豊野の池の原:西波神社南側の田の原 北緯34度52分36秒東経133度44分5秒  平成23年(2011年)11月22日

 

平成29年(2017年)3月31日に【岡山「へその町」の民話-岡山県吉備中央町の採訪記録 立石憲利 吉備中央町図書館 吉備人出版】が発行されました。p273に「黒土の大入道」P274に2項目の「見越入道」の民話が載っています。