見えない神様 Do you believe invisible god


 昔 とても貧乏な 家族がいました。父親は 家族を養うために 辛い仕事も 引き受けていましたが、どうに もこうにもならなくなり ついに 犯罪に手を染めました。後ろ手に縛られ 唐丸駕籠Toumaru-kagoに 入れられ、唐丸鶏のように 肩を窄め 連れて行かれました。残された子供や親戚の者は 近所の人から 白い目で 見られました。父親がい なくなり 家計は ますます苦しくなったのです。14歳の綾は 播磨(Harimaの大百姓の仲居に 出されました。綾の雇い主は「犯罪者の娘だから こき使っても 文句を 言う者がいない」と して、雪の降る中 素足で 麦踏みをさせる 等 過酷な命令をしました。切るように寒い朝の広い屋敷の拭き掃除 風呂の水汲み 洗濯 等の水仕事は 綾にとって 特に辛い仕事でした。皸Akagireができ 耳や足の指は霜焼けSimoyakeができました。その痛い事。綾は 死んでしまおうと考え 色々と試みるのですが 踏ん切りが 付きません。辛い。辛い。そして 終に 辛さを忘れたく 故郷へ逃げ帰ろうと したのです。 道を急いでいると 淡島神社が 建っていました。綾は 淡島様には 女の幸せと 病気の治癒や 厄除けのご利益が あるのを 知っていたので お参りしました。階段の下で 柏手を打ち「辛い生活が 終わりますように  皸や霜焼けが治りますように」と 拝みました。ふと 綾の頭に 名案が浮かび「辛い記憶ぅ 消してもらおう 辛い気持ちに ならんようにしてもらおう そうすりゃぁ 辛さぁ 感じんようになる  辛さぁ無くなりゃぁ 楽しゅう 暮らせる」と 躊躇わずtamerawazu淡島様に 願いを伝えました。すると、お社が 光り淡島様と 思しき)者の声が 現れ「お前の願いを かなえよう  階段を昇って来なされぇ  階段を 昇り切ったら 辛さを消してやろう  楽しい事が 何かを教えてやろう」と 言いました。

綾は1段目に上ると 辛い記憶が蘇Yomigaeriりました。2段に上ると 辛い今の生活が 目に浮かんできました。3段目に上ると 兄弟や母が 辛い思いをしている姿が 見えました。4段目に上ると 家族の声が 聞こえたので 耳を 澄ませ聞き取ろうとしました。5段目に足を掛けると 家族の笑い声が 聞こえました。6段目に上ると 家に残り  1番苦労している筈の 兄の 声が 聞こえました。「記憶を無くす事は 思い出を無くす事じゃ」と 言ってくれています。7段目に上ると弟 の声が聞こえました。「辛い事があるから 楽しい時 楽しいと 感じるんじゃ」 と 言ってくれました。8段目に乗ると 母の声が聞こえました。「目の前の神様は 本真に 神様なんか  神様を見た者は おらん  じゃから神様の姿を知る者は おらん なぜにお前は その者を 神と思うんじゃ」と 言ってくれました。綾は 9段目に立ち「現実を見直させてくれてお兄ちゃん 正二ちゃん お母ちゃん有難う  皆との思い出が 一番 私Utiを 励ます事が 解かった  考える時間をくれて 神様有難う もう後1段で 全部ぅ失う所じゃった  思い出ぇ 希望にして 生きて行く」と 言って、ゆっくりゆっくり 躊躇なく階段を 降りました。すると神様は 舌打ちし「あんな女神みたいな顔を されちゃぁ 悪さも できん わしも 本真は 善人でいたかった  お姉ちゃん有難う」と 呟いたのです。その青年は 故郷に 淡島神社を 祀りました。「三谷日名の百怪談」     唐丸駕籠:犯罪人を 運ぶ駕篭で、唐丸鶏を 運ぶ籠に似ているので こう呼ばれます    石の段淡島神社・斎乃神社:細田石段739-2番地の北西に大小の一宮社が建っています。大きい社が淡島神社で粟島神社太玉、小さい社が斎神乃大神社で斎神乃大神太玉を祀ります 淡島神社:粟島神社の総本山は 和歌山市加太116番地 北緯34度16分25秒東経135度3分59秒に建ちます 少彦名命Sukuna-hikona-no-mikoto 大己貴命Oonamuti-no-mikoto 息長足姫命Okinaga-tarasi-hime-no-mikotoです 心身の病気 平癒 子授け 安産 良縁 厄除け 災難除け 諸業繁栄 等に 霊験あらたか との言い伝えがあります 人形供養 針供養 婦人病祈祷等が 行われます     平成23年(2011年)8月12日