三谷・大木 柳井田の狐の嫁入り Fox's wedding in yanaida

昔 狐山に 住む狐が 村人を騙し 村一番の美人を 嫁に捕りました。立派な 嫁入り行列は 柳井田の池を 三周して 狐の嫁入りの中 狐山に 消えて行きました。祝言に参加した者は なぜか追う事ができませんでした。「著者の父より口伝」


大国主命と少彦名命の我慢比べ Patience comparison between Oo-Kuninusi-no-mikoto and Sukuna-bikona-no-mikoto

ある時、大国主命少彦名命が 国土を開発するために 所々を 廻っていましたが、なすべき仕事が 見つからず ただ歩くだけだったので 退屈していました。それを見ていた 大山咋神Oo-yamakuhi-no-kamiが「暇を持て余す位なら 我慢比べをしてごらん。」と 提案しました。大国主命は「わしは 今ウンコをしたくなった。。ウンコをするのを我慢する。おい  一寸法師。お前は小さい体だが 力持ちだ。土を山2つ程担ぎ 地面に下ろさないよう運んで見ろ。」と 言いました。少彦名命は「承知した。わしの事を一寸法師と呼んで侮ったな。本真は大男で 小さい振りをしているだけだ。」と 応じました。心の中で「大国主命よ。あんたは馬鹿か。便意を我慢するのがどんなに辛いと思っているんじゃ。勝負にならんが 兄貴分に恥も掻かす訳にもいかん。」と 密かに思いました。しかし 神様同士ですから 我慢比べの決着は いつまでも付かず、飲まず食わず 延々と続いたのです。少彦名命の予想通り 大国主命が3日後に波自賀村Hajika-no-muraに差し掛かった所で 我慢できなくなって ウンコをしました。大国主命が用を足した時に 慌ててお尻を剥いて ウンコをしたので、運悪く笹がウンコを弾かせ(波自賀せ)服をウンコで 汚しました。ウンコの量は 溜めに溜めていたので 山の半分位になりました。すると 少彦名のは「わしも疲れた 我慢できん。」と ドーとばかりに 大国主命のしたウンコの上に 2山分の土を 一気に降ろし 埴岡Haniokaを作り、勝負を引き分けにしました。少彦名命は 先輩思いだったのです。そして 大国主命が 土とウンコを混ぜるあわせ始めると その大音に驚き 駆け付け 村人が集まって来ました。大国主命は 村人に「この土で作物を育てなさい。」と 言って、ウンコ混じりの土を お百姓に分けてやったのです。使い切れなかったそのウンコ交じりの土は 大岩になって今も残っています。分けて貰った大国主命のウンコ交じりの土で 野菜を作ると 立派な野菜が採れて お百姓は感謝し、神様のためにお宮を造って差し上げました。www.eonet.ne.jp/~naito158/siseki/tsuruisiseki2/

 

美きつね お紺の純愛 Pure love of beautiful fox named o-kon

昔昔 日照りに悩む村が ありました。雨を降らせるには 龍神様に 生きた女狐を 奉納しなければなりませんでした。隣村には お紺と言う化け上手な女狐が 住んでいて、働き者で正直な武蔵に 淡い恋心を 抱いていました。武蔵と 夫婦になりた く途方もない美人に化け 隣村の庄屋で 下働きをしていました。時々 村役に頼まれ 隣村に出かけていた武蔵も お紺の眼差しに気付き 恋心を抱いたのです。それを知った村一番の切れ者の五郎兵衛は 隣村に出かけ 庄屋と談判し お紺と武蔵に 祝言を上げさそうと相談しました。お紺の気持ちを 知っていた庄屋は  大賛成でした。祝言が 始まり たけなわとなった頃から 五郎兵衛が 荒縄や 檻を用意し始めました。その怪しい仕草に 気付い武蔵は「罠だ。お紺。龍神の生贄にされる 逃げろ。」と 外へ連れ出そうとしましたが お紺は「初めから 知っていました 。大好きな武蔵さんや  武蔵さんを愛する村人の皆さんのためなら 死んでも良いと 思っていました。少しの間だけでも 武蔵さんと 夫婦になれただけで幸せです。」と 言って逃げませんでした。村人達は お紺の心を知ると 祝言を滞りなく済ませました。祝言が終り 初夜が終わると お紺はすすんで五郎兵衛に捕まり 龍神様の雨乞いの生贄に なりました。神主が 雨乞いの祝詞を上げ終わると 満天の空には  雲一つないのに お紺の涙が 大雨となって 村は 旱魃から脱したのです。武蔵は 嫁を取らず お紺の霊を悼み続けましたとさ。https://99bako.com/1033.html


柳井田の狐の嫁入り物語 Tale of FOX'S WEDDING IN YANAIDA

昔 昔 狐山の狐岩に 住み付き塚塔Tuka-ga-touと 言う弥生時代の古墳群のある山を 縄張りにした嘘八Usoooatiという名の狐がいました。長生きをして 神通力を身に付け 人に 化け人の言葉を話せるようになっていました。その古墳群のある山の持ち主は 弥太郎という者で 可愛らしく美しい娘が いました。弥太郎は 娘を 良い処に 嫁がせようとしました。そのためには お金持ちにならないといけないのですが、その方法が 判らず困っていました。

魔利支天様は 願いの妨げになる悪い事から守ってくれる仏と 知ると、魔利支天に 毎日 お参りしていました。狐の嘘八は この娘を 気に入って嫁にしたいと 邪Yokosimaを 起こしていました。弥太郎の魔利支天詣でを 見つけ、何を 魔利支天に お願いしているらしいので 願いを記した お札を 盗み見ました。弥太郎が お金持ちになると、娘が良い家系の嫁になる事を 知りました。弥太郎を 貧乏にして 自分の嫁にしようと企み、魔利支天の祠hokoraの後ろの石グロ(弥生時代後期の古墳と思われます)に 隠れ 岩蔵が詣でるのを 待ちました。弥太郎は いつものように やってきて 必死に 魔利支天に お願い事をしたので、狐は 厳かな声で「われは魔利支天なり。慈愛を尽くし 願いの富を与え 妨げる者を打ち払ってやろう。」と 言いました。仏の声に 驚き 有り難さに 恐縮していると、嘘八は「何が 起こっても  われの指示を 努々Yumeyume疑う事なかれ。」と 告げました。その頃 三谷城の殿様の山脇民部は 山を開墾する事を 村人に勧めていました。村人は「あねぇな山の頂上付近にゃぁ水も 湧く 筈がねぇ。田畑ぁ造っても 損をするばぁじゃ。」と 見向きもしませんでした。嘘八狐は 弥太郎に 無駄働きMuda-batarakiをさせ 大損させようと思って「あの山の土は 一寸法師が 運んで来た土じゃ。あの山を 開墾せよ。殿様が 喜び 褒美をくれよう。」と 摩利支天の護符をくれ 開墾を勧めたのです。弥太郎は それを信じて開墾を進めました。大金をはたき 開墾しましたが 水が足りないので 作物が育ちません。嘘八は 池を掘るよう 勧めましたが 池を掘っても水が 湧きませんでした。すると「もっと大きな池を掘れ。水が出るまで掘れ 。必ず水がコンコンと湧き出る。」と 言うのです。さすがに 弥太郎も 魔利支天が 自分を 破産させようとしていると感じ「これ以上 無駄なお金を使うと、無一文になります。」と 抗議すると「私は仏である。 嘘等は 絶対につかん。疑うなら祟る。」 と 荒神のように言い返すのです。

弥太郎は 掘れども掘れども 水は出ないので 腹立ち紛れに 嘘八のよこした 魔利支天の姿絵を堀の底に敷いて 突きん棒で 突きに 突きました。すると 嘘八の仕掛けの結界が 破られ 清水が 噴き出し 堀は 見る見る水が満ち 立派な池になりました。摩利支天のご利益に 感謝し 水の豊かな地になったので 柳井田と名付け、この池の水で 稲を育てると 育つは 育つは 毎年豊作で 弥太郎は 使ったお金以上に儲かったのです。三谷城の殿様は 城の肥え溜めが一杯になって困っていました。弥太郎の作るお米が 美味しいので 侍達が 沢山食べ  沢山ウンコをしたからです。殿様は 肥え溜めの糞尿を汲み取ってくれる者を 探していました。嘘八は「弥太郎 。汲み取ってやれ。 三谷城で 大国主命(Oo-Kuninusi-no-mikotoが ウンコをしたそうじゃ。 少彦名命Sukuna-hikona-no-mikotoの運んできた土の田畑に 混ぜれば 作物がよく育つ。 昔から大国主のウンコは良い肥料になるというぞ。」と 耳打ちすると、弥太郎は 摩利支天を 信じ込んでいたので 汲み取り 畑に撒きました。村人は「弥太郎は 気が触れたか 狐に取り憑かれたぞ。作物が 採れても 臭くて食えるものか。」と 陰口を たたきました。嘘八は「今度こそ 弥太郎は 破滅じゃ。ず っと お城の肥え溜めの掃除をさせられ 貧乏になるぞ。」と 思いましたが「おお臭い。我慢 我慢 。 魔利支天様のお告げじゃ。」と 野良仕事に 励んだので、その年の弥太郎の田畑では 今まで以上に 作物が育ち 町で売ると 見栄えも良く 味も美味しかったので 高値で売れ、弥太郎は さらに 大金持ちになりました。殿様は 無理な願いを叶えてくれた 弥太郎に 感謝しました。弥太郎に 褒美Houbiをやろうと お城に招きました。弥太郎は 娘が美しく気立ても良いので 殿様が一目惚れすると自負して 娘を連れて お城に上がりました。殿様は「これ弥太郎。褒美を取らす。何なりと申せ。」と言うので、弥太郎は「勿体ないお言葉です。 娘の美代をお殿様のおそばに置いてください。」と 願い出ました。しかし殿様には 豊富な企画力と実行力を持ち 民部の政治を支える事に欠かせない 美しい奥方が居りました。しかも その奥方は 須勢理毘売命(Suseri-hime-no-mikoto程に 嫉妬深い カカア天下でしたので「それだけは 勘弁してくれ。」と言って 褒美に大金をくれました。がっかりして 親子は 帰宅し 魔利支天に報告し  先々の事を 相談しました。嘘八は やっと思惑通りになったので「何を迷うか。わたしは お前の娘が好きで お前を支えてきた。娘を わしの嫁にくれ。さもないと祟るぞ。」と 上から目線で脅して 要求しました。弥太郎は 仏の怒りが 恐かったので「娘を お娶りくだされぇ。ははー。」と 頭を地面に付け 承諾しました。嘘八は「供を 連れて 明日迎えに参る。その時に たっぷりの結納を 届けよ。」と 偉そうに言いました。

翌日 家来を 揃えsoroe、嘘八狐は 花嫁を迎えににやってきました。大きな日除け傘や 毛槍に 幾つもの長持ちが 揃えられ、まるで殿様の行列のようでした。長持ちには 言うまでもなく 弥太郎が財産を叩いた 美代の結納金が 満載されていました。美代は 白馬に 乗せられ白無垢の嫁入り姿で 柳井田の池を一回りすると、行列の者は 弥太郎達を 帰らせようとしました。弥太郎が「婚儀に 出してもらえないのですか。」と 尋ねると、嘘八は「仏の嫁取りの儀式に 不浄な人間が 同席できる筈 等なかろうが。ここで 引き返されぇ。」と 高飛車に 言うものですから、弥太郎は「ごもっともです。」と 立ち止まり、嫁入り行列が 狐山に入ってゆく光景を見ていました。すると摩利支天や 家来衆に尻尾Sippoが 生えて来て 馬も細くなり 狐色に変って行きました。狐に騙されていた事に気付き「とんだ事になった。」と 後悔しましたが 後の祭りです。狐の行列は 狐山深くに 消えてしまいました。

涙が ポロポロと弥太郎の眼から流れました。「分限者になり、娘ぅ 玉の輿に据えようとしたんが 間違いじゃた。心の隙ぅ 狐に突かれた。子供を自立させるんが 親の務めじゃった。神仏に頼らず 可愛い子に 旅ぅさせるべじゃった。」と 厳しい反省をしました。すると良く晴れているのに、弥太郎の流す涙が 天に上り 雨となって 降ってきました。人々は 晴れているのに 雨や雪が降る気象現象を「狐の嫁取り」とか「狐の嫁入り」とか 言うようになりました。

 「著者の父より口伝」「大国主命」「三谷城」を基にした物語     吉備の里の三谷や 細田付近は 狐の嫁入りの多い地域です。雨や 雪の約半分位は 狐の嫁入りです。大山辺りで 降る雨や 雪が 風に流され降るからです。また 弥太郎の様にお金持ちになりたい人々は、狐を祀るようになったと 嘯くUsobuku者もおります。    狐の嫁入りsudden rain from a blue sky雨雲が速いスピードで通り過ぎると 降った雨は雲が通り過ぎた後に 地上に届きます。強い風が吹くと 遠くで降っった雨が 流されて来ます 塚ヶ塔の弥生時代の古墳群:北緯34度54分27秒東経133度47分16秒 塚ノ乢tuka-no-tawa:北緯34度54分22秒東経133度47分7秒    塚ヶ乢tuka-ga-tawa:三谷日名中倉 北緯34度54分28秒東経133度47分19秒    町指定文化財塚ヶ搭:日名弥太郎田の北 北緯34度54分24秒東経133度47分9秒   塚ヶ搭塚ヶトウ:大木922-925番地   塚ヶ搭田東:大木926-929番地 塚ヶトフ:大木930番地 弥太郎田:人の名前に 由来する地名かどうか 判りません。冬季の砂鉄採取のための季節労働者である 穢多と 関係するのでしょうか。 弥太郎山:三谷880-883・919番地     三谷日名摩利支天社:日名塚ヶ乢の南 北緯34度54分27秒東経133度47分19秒    柳井田の池:大木柳井田 やなぃぇだと発音するより やなだと 発音した方が 地元の人は 理解し良いでしょう。北緯34度54分16秒東経133度47分1秒 三谷城跡:三谷陰地 北緯34度54分51秒東経133度47分48秒    狐山:三谷 大木 豊岡下の境の山 北緯34度54分38秒東経133度47分28秒  江戸中期まで 墓石を立てる事 が禁止されていた時代の共同墓地であろうと 推測します 三谷899-900・902・903番地      大国主命の妻問:八千矛神yatihokonokami(大国主命)は 高志国kosinokuni(新潟)沼河比売Nunakawa-bimeを 娶ろうとすると 后の須勢理毘売Suseri-bimeは 激しく嫉妬しました。怖くなった八千矛神は 出雲国から大和国に 逃げようとしましたが、須勢理毘売は 許さなかったので 2柱は今も 一緒に鎮座しているのです。https://ja.wikipedia.org/wiki/大国主の神話」       平成23年(2011年)7月4日

 

平成29年(2017年)3月31日に【岡山「へその町』の民話-岡山県吉備中央町の採訪記録】が発行されました。P230~P231に「狐の嫁入りの火」「狐の嫁入り」が載せられています。 平成31年(2019年)3月31日に【岡山「へその町」の民話 追補版-岡山県吉備中央町の採訪記録 立石憲利吉備中央町図書館 吉備中央町教育委員会】が発行されました。p47に三谷の「狐の嫁入り」の話題が載せられています。