加茂市場 老僧の淵 Rousou-no-huti "River pool of aged Buddhist monks "

加茂市場萩の坊如意輪観音像は 秘仏でした。扉を開け 観音像を見ると 祟られ盲目になると 伝えられていました。とある時 住職は「もう年老いた 御本尊を拝まずには死ねない 死ぬ前に一度で良いから 御本尊を 拝観したい」と 思うよなり、お堂の扉を 開けました。観音像は 鋭い光を発し 老僧の目を焼き 光りを失わせました。老僧は 盲目となった事に悩み苦しみ  世を儚んで 大月の淵に 身を沈めました。又 「老僧が 誤って大月の淵に 嵌まった」 或いは 「大月の淵で 溺れかけた少年を援けようとして 水の犠牲者となっ た」と 伝えられます。大月の淵の名は, 大月家が管理していたので その名が付けられ、この伝説に基づき 老僧渕とも呼ばれます。「加茂市場の村人口伝」

 


 昔 和田の青木の森の宗林山に 宗林寺Syourin-*jiと 言うお寺が 有りました。素戔嗚Susa-no-o様が 祀られている神社の別当Bettouでしたが、素盞雄神社を 青木の森に残して、井原の青木に 引っ越して来ました。ここでも 宗林寺は 青木の祠Aoki-no-Hokoraを見捨てて、加茂市場の元兼Motokaneに 引っ越して来ました。ここでは 御上Okami(池田光政の方針で お寺を 止めさせられましたが、檀家Dankaの人が 苦労を重ね 下加茂の吉田に 牛頭山宗林寺を 建てました。

元兼には 萩の坊だけが 取り残されたので 萩の坊の如意輪観音様は すねました。お堂に隠れ「誰も見てはならぬ 見た者の目が焼く」と 宣言しました。天の岩戸に隠れた 天照大神より 恐ろしい宣言をしたので 寺に務める者も 檀家衆も 恐縮し お堂を 開帳する者は いませんでした。その寺の住職も その教えを 守り お堂を 真面目に 管理してきましたが、年老いて来ると「死ぬ前に 一度位は 御本尊を 直接拝みたいものだ  随分と御開帳していないので さぞ御本尊様は 埃Hokoriまみれになっていよう  お浄めして 差し上げたいものだ」と 考えるようになりました。一度 思い込むと その思いは 募るばかりです。この老僧は ついに 好奇心が 心の抑制に 勝りました。合掌し 神仏の加護を 祈りながらも 恐る恐るお堂の扉を 開け 御本尊を 拝もうとしました。修行を極めた僧侶でしたが 恐れる心は 仏の加護に 僅かな疑念を 持っていた証でした。すると 輝かしい光を 御本尊が放ち その鋭い光は 老僧の目の 網膜を焼いたので、その日から 老僧は視力を失い 暗闇の中で 暮らすようになりました。自分の犯した罪を 悔いながら 仏に尽くす修行を重ねるうちに 自分の修行の未熟さを 悟りました。すると目は見えないのですが 周囲の様子を 手に取るように 分かるようになったのです。老僧は「私は悟り 仏の境地にいる  恐れるものは 何もない」と 慢心しました。ある日  川にはまった子供の助けを呼ぶ声がしたので 老僧は躊躇なく 声の方向に正確に進み 雨で増水していた川に 入り少年の救助に向かいました。

水の勢いは 想定以上に激しく、足を水蘚Mizugokeに取られ 不覚にも転落してしまいました。老僧の脳裏に一瞬「ああ、目が見えていたなら水の勢いを 想定できたのに」と 更なる能力を望む 欲望が過ったyogittaのです。一端悟りを失い 目の不自由さを感じると 心の迷いの深みに溺れるかのように 川の深みへ 深みへと 流され ついに 少年を助けられず 溺死Dekisiしてしまいました。村人は 老僧と少年をを憐れんで 近くの川岸に 地蔵を立て祀りました。それでこの渕を 老僧淵と呼ぶのです。またこの淵は 大月家が 管理していたので 大月の淵とも 呼ばれました。このことが有ってからは お堂を開けようとする者は 無くなり、お堂は古びても修理できないので ボロボロのままなのです別の伝説では 光を失った 老僧が 身を儚んで あるいは 誤って 大月の淵で 亡くなったとされます。「美原江下の村人より口伝」を基にした物語

牛頭山宗林寺:下加茂2046番地 北緯34度51分31秒東経133度48分51秒    和田・牛頭山観音堂:宗林山青木山頂 北緯34度53分30秒東経133度43分59秒    井原・青木山明王寺不動院:北緯34度53分37秒東経133度45分22秒    元兼牛頭山萩の坊不動明王加茂霊場:北緯34度51分51秒東経133度45分54秒     老僧淵大月の淵:加茂市場大鳴16-1番地(北緯34度52分1秒東経133度45分54秒)の東の宇甘川の流れの速い辺りから その北 加茂市場滝山上10-2番地(北緯34度52分4秒東経133度45分57秒)の東 宇甘川が 堰き止められている所迄    少年を悼んだ地蔵奥の院3番の石仏: 堰の向こう側の杜の中 北緯34度52分5秒東経133度46分1秒    老僧畑:加茂市場2080番地    寺田:加茂市場2090-2092番地    地慶:加茂市場2095・2186番地等     平成26年(2014年)10月13日