三納谷 狐の厠物語 Tale of Fox's toilet


何百年も 前の事です。未納谷の保Tamotuは 人程も ある大狐が 化ける所を 見ました。辺りを威圧する程に 眼光鋭く 物凄い怪力の持ち主で  且Katu 乱暴そうに見えました。「きっと 狐族の王なのだろう。」と 思いました。頭に  木の葉を乗せ 口に巻物を咥え 胸の前で 印を結び 何やら 唱えています。人の名前の様な 言葉や 恨みがましい言葉が 混じっているようです。狐は 見事な 若者に変身しました。きっと 誰かを騙しに これから行くのだろうと 察して こっそり後を 付けました。するとお人好しの保の隣の家に 来たのです。

この家には 可愛らしい則ちゃんと 言う娘がおりました。保は この可愛らしい娘に、好意を 懐いていたのです。この娘を 狐が狙っているらしく、どこから 忍び込もうかと 迷って 家の周りを グルグル回り、中の様子を 伺っています。狐の若者は 裏木戸の前の庭石に 腰掛け 思案投げ首で 考え込みました。狐に 見つかれば どんな目に合されるか 解りませんが「この狐に 好いた娘を 汚されては なるものか。」と 勇気を出して 門を潜ったのです。家の者に「狐の王が 騙しに来た。娘さんを狙っている。 庭石の陰で思案している。」と 知らせました。家の者は 驚き、外に 一斉に 出て来たので  狐は 慌てて逃げて 行きました。保の勇気ある行動に 感謝し、家族の者達は 招き入れ「娘は おてんばですが 婿(に来てください。しっかり者の お隣のお前様を 好いている。」と 頼む込むので、ちょっと 臭いと 思いましたが 中に入りました。娘も その気らしく お化粧を し直し 着替えをし、お酒の支度をし 傅いてKasizuite 酌をしてくれ、優しく話し掛け 時々流し目を 送ってくるのです。保は すっかり その気になって 良い気分になって しまいました。娘が 隣の部屋に行き どうも 布団を 敷いているらしい音がします。始めの内は 見たい気持ちを 抑えていましたが、ついに 好奇心が 理性を上回り そっと襖Husumaの隙から 覗いたのです。ところが その瞬間 騒ぎを 聞きつけ 集まっていた 大勢の人の笑い声が 聞こえました。すると それまであった筈の隣の家も 自分の家も消え、なんと保は 野壷を 覗き込んでいたのです。保は 2日程前に 狐の親子が 飼っている鶏を 狙っているのを見つけ 追い掛け、散々に 虐め抜いた事を 思い出しました。あの壺の上で バタンと寝たら どんな結果に成ったかと 想像すると   思わず 苦笑いしました。[三谷野呂の百怪談」

三納谷集落:北緯34度53分9秒東経133度46分456秒 渋理の久保田神社の使わしめは 火雷神社に関連して 狸と思われがちですが 狐らしいです 久保田神社細田天津神社:北緯34度53分38秒東経133度47分7秒  「文吾と狐 - 和歌山県の昔話 | 民話の部屋 (minwanoheya.jp)」  平成24年(2012年)2月22日

 

平成29年(2017年)3月31日に【岡山「へその町」の民話-岡山県吉備中央町の採訪記録 立石憲利 吉備中央町図書館 吉備人出版】が発行されました。P225~p227pに「風呂は野つぼ」「寝室は肥溜」「女が招く」の民話が載せられています。

平成31年(2019年)3月31日に【岡山「へその町」の民話 追補版-岡山県吉備中央町の採訪記録 立石憲利吉備中央町図書館 吉備中央町教育委員会】が発行されました。p44~P46に「風呂は肥溜」「風呂は川」「青畳は池」「家は土手」と言う物語が載せられています。

 

文吾と狐 Bungo and fox

昔 文吾と言う とてつもなく 負けず嫌いの男が いました。その性格を 知っていた村の衆は 文吾に 聞き取れるか 聞き取れないかの 微妙な距離で「下の田圃に 人に化けて 他愛も無ぇ悪さばぁする女狐が 出るんじゃ。もんげぇ別嬪じゃけぇ わしも 騙されに行こうと思う。文吾にゃぁ教えるんじゃぁねぇぞ。先に 化かされに 行こうとするけぇ。」と ヒソヒソ話を しました。それを 聞いた文吾は「意地悪な 奴らじゃ。わしばぁ 除け者にして。狐が 人ぅ 騙した話ぁ聞いたが 騙された事ぁ無ぇ。わしが 退治して 村の衆の楽しみゅう 無くしてくれる。」 と負けん気を 露わにして 下の田に やって来ました。煙草を吸って 気を落ち着かせていると、向うの藪の陰で 狐が 頭に 何かを乗せ クルリと宙返りして それは もう美しい娘に 化けました。「ほんまじゃ。狐は化けるんじゃ。あねえな別嬪さんなら 多少の悪戯ぁされても 満足じゃ。もそっと様子を見よう。」と 思っていると、娘は 田圃の脇の家に スッツと入って行きました。「狐は どうやって人を化かすんじゃろう。」と 思い ソッと 忍び寄り 戸口の節穴から中を覗くと 饅頭を ご馳走になっていました。「狐も狐で 何て図々しいんじゃ。騙される方も 騙される方じゃ。あねぇな良ぇ茶迄 出しておる。」と 笑うと、狐が 人気を感じ 振り向いたた拍子に 戸を通り抜けて 饅頭が 文吾の足元に 転んできました。「成程  これが 狐の常套手段か。」 と 思いながら 騙されたように 饅頭を 食べるふりをしました。すると 狐が 手元を 隠して 何かを作り始めました。中が 薄暗いので 仔細が 良く見えないので 良く確かめようと 思いっきり 目を 節穴に押し当てました。すると「文吾ぅ。何ぅしとられるんならぁ。牛の尻尾ぉぅ たくし上げて。」と 呼び止められ、ハッと 正気の戻ると、なんと 牛の尻の穴に 片目を押し当てていたのたっだとさ。文吾と狐 - 和歌山県の昔話 - 民話の部屋 | フジパン    平成24年(2012年)2月22日