下土井    妖怪絡新婦 Monster-Jyorou-gumo ”土井神社の孫六女郎蜘蛛 Magoroku-Jyorougumo "golden-web spider in Doijinjya syurine”


 下土井の土井神社の軒下に 元々は 美作の高田にいた 孫六女郎と言う名前の 体を痺れさせる毒を持つ 絡新婦の妖怪が 住みついていました。高田で 婿取りを試みましたが  悉く 破談していました。高田の娘が  下土井の土井次郎左衛門に  嫁いで来た時の嫁入りの駕篭に 隠れて  母蜘蛛と一緒に 下土井に来て 土井神社の杜に 巣を張って 若い男が 通り係るのを待ち受けていたのです。母子は 綺麗な乙女に化けては 若い男を騙し 娘の婿に適さないと思うと 餌にしていたのです。ある時 下土井に 若い侍が  悪行を重ねる絡新婦を退治に やって来ました。女郎蜘蛛の娘は 乙女に化け「お嫁に してください」と 言って 色っぽい品を 作ました。侍は すっかり目的を忘れ 興奮し 身体を硬直させ、色白で瓜実顔Urizane-gaoの娘に すっかり惚れて 言われるままに 娘の館に行き、夫婦の契りの儀式をする事に なりました。娘は「刀を 仕舞ってください」と 言うと、侍は 刀を床の間の刀掛に 納めました。娘は「服を着替えて下さい」と 言ったので、裸に なりました。娘は「香水を塗って差し上げます」と 言って、裸の侍に 香しい香水を 塗ってくれました。

今度は、娘が「生塩Kisio/Usioで 体を浄めて下さい」と 言うので、侍は 神棚に向かい塩で 体を浄めました。娘は 嬉しそうに微笑み 新しい薄手の衣装を 肩に掛けてくれ 体を寄せて来ました。侍は 柔らかい娘の体を 抱きしめ うっとりとしました。すると 娘は 背中に 爪を立て 首元を咬んできました。「痛い」と思ったのですが「娘の好みの愛し方だろう」と 思い 我慢しました。すると 次第に 眠くなって来て 立っていられなくなったのです。その日から その侍を 見た人は  いなかったそうです。時が 過ぎ文亀2年(1502年)に  土井神社に 玉藻岩が 祀られました。旅の剣客 土井孫六左衛門が 土井神社に 参詣しようと 参道を登って行くと 蜘蛛の巣が 顔に貼り付きました。蜘蛛の巣と 蜘蛛を 手で打ち払って 土井神社に参詣すると 足の折れた四十路のの品の良い垢()抜けした色っぽい女が 丁寧に挨拶をし「あなた様は 働き者なので 娘の婿にふさわしいと  事代主命kotosiro-nusi-no-mikoto様が 神 託されました  娘は 以前から 孫六左衛門様を お見受けして お慕い申し上げております  ぜひ娘の婿になってください」と 言うのです。付き添う娘は 惚れ惚れする程の美しさで、恥ずかし気に 初々しく振る舞いました。しかし 孫六には  恐妻がいたので 丁重に お断わりしました。すると 娘は 恐ろしい顔に変わり「母は あなたに 叩き落され  足が折れ 危うく死ぬ所でした」と 怒った 2匹の絡新婦は 挟み撃ちに  喰い付かんばかりに 大口を開けて 追いかけてきました。孫左衛門は 人食い蜘蛛だと解りましたが  逃げ場がないので そばにあった玉藻岩に 縋り付き 助けを求めました。

すると 玉藻岩から 毒霧が 湧き出し 蜘蛛共を 取り囲みました。蜘蛛達は 苦しみながら 高田に逃げ帰って行きました。孫左衛門にとっては 玉藻岩の霧は 薫り高く快い暖かさでした。慈愛に溢れた良い香りに 目を覚ますと  優しい妻が 手を取り 額の汗を 拭きながら「怖い夢でも 見ていたのですね  うなされていましたよ」と 声を掛けました。絡新婦 - 絡新婦の概要 - わかりやすく解説 Weblio辞書」「土井神社玉藻石」「殺生石玉藻前」を 基にした物語     真庭氏勝山の美作国高田城勝山城:113号線 北緯35度5分23秒東経133度41分35秒 玉藻宮が 祀られています。    土井神社玉井神社:下土井1746番地 北緯34度52分41秒東経133度45分52秒    玉藻岩:九尾の狐の玉藻前が 退治され 殺生石になりますが、玄翁和尚により 破壊され、破壊された殺生石は 各地へと飛散しました  その一つが美作高田に 落ちました   虎倉城の伊賀久隆 伊賀河内守に 加勢するため、美作国の高田の笹山城から 三浦源左衛門貞兼(貞勝でしょうか)下土井に 駆け付けました   この時 三浦家の鎮守の玉藻神社の玉藻前霊神を 携帯して来て、文亀2年(1502年)2月に この地に 社を建て 祀りました吉備中央町の神社 土井神社」       平成23年(2011年)11月21日