田土 岩王山伝常寺の妖蜘蛛 spider lived in iwaouzan-Denjyouji temple


王山伝常寺が 栄えていた頃の話です。伝常寺に 蜘蛛が住み付き 修業場に 巣をを作りました。山岳修業僧達は 油断すると 糸が顔に張り付くので 蜘蛛の巣に悩みました。殺生もできず 遠くに連れ出し追い出すのですが 直ぐに戻り巣を張りました。猿顔をした新米が 修業に加わると 不思議にも 蜘蛛はどこかに行ってしまいました。暫くすると 本尊に備えていた供物が 時々無くなりました。「最後に 就寝する新米の猿顔の山伏 が  激しい修行で 腹をすかし盗み食いをしているのだろう」と 責められ 猿知恵のイヤシン坊と 呼ばれました。濡れ衣を晴らすため イヤシン坊は 寝ずの番をし、犯人を 捕まえようとしました。すると 真夜中に 僧侶が 天井から現れて お経を唱えながら お供え物を 天井裏へ運んで行きました。。イヤシン坊は 先輩達に その話をしましたが「 天井裏に 坊さんが 住める訳けぁねぇ 盗み食いの言い訳じゃ  お前ぇが 泥坊じゃ」と 言 って更に 責められました。イヤシン坊は「化け物を退治してやろう」と、粘っこい餅を作り お供物としました。その夜も 案の定 化け物が現れて 餅を天井裏に運ぼうとしましたが、粘っこい餅が 天井に当たると粘り付くのでうまく運べません。

もがけば もがく程に 餅は伸びて広がり 蜘蛛の巣の様な 鳥餅になりました。「しめた  まんまと罠 に掛かった」と 思い 泥坊は「この泥棒坊主め」と 天井に登り 泥棒を捕まえようとしましたが、鳥餅に手も取られ 足も取られ 身動きできません。すると大蜘蛛が 現れ鳥餅の糸を 上手に伝い やって来て イヤシン坊を 見事な迄に 縛り上げました。これでは 餌にされると 思い 先輩達の助けを求めようとしましたが 蜘蛛の糸で 猿轡sarugutuwaされていて 大きな声を出せません。ドタバタしようとしても 身動きが取れず 先輩達を 起こす程の音がしません。翌朝 先輩達が 起きてみると イヤシン坊が見当たらないので「あの野郎  修業が 辛くて夜逃げしたかぁ」と 思って 朝のお勤めをしようとすると 天井から餅の糸が垂れていました。不思議に思い 天井を覗いてみると 大蜘蛛が 泥坊の生き血をまさに吸おうとしているではありませんか。先輩達は「猿の奴 猿轡をされとる  助けにゃならん」と 孔雀明王教を 声を合わせ唱えると 大蜘蛛の術は 破られ 普通の蜘蛛に戻って 天井から逃げ出しました。先輩達は 追いかけ庭先で 更に呪文を掛け 妖力を使えないようにしました 。山伏達は 蜘蛛の化け物が 栄養を付け 更に力を 蓄えれば 自分達も 餌にされたかも知れないといと思うと、知恵を働かせた 初心者の山伏に感謝し2度と上から目線で見る事はありませんでした。「田土 桜坂の村人より口伝」    現在の岩山王伝常寺:田土桜坂2836番地、北緯34度51分40秒東経133度44分6秒 本尊は神変大菩薩Sinben-daibosatu山上様 孔雀明王教法:山岳信仰の確立者 神変大菩薩役行者が習得した全ての毒を取り除く術  平成28年(2016年)11月23日

 

くもの化け物 Monster of spider


ある所のお寺の話です。本尊にお供えをして置くと いつの間にか無くなりました。「きっと誰かが盗み食いしておる 退治せにゃぁなるまい 」と 和尚が思い 法力を込めたネバネバの餅を作り お供物の上に塗って置きました。すると 何処かの坊さんが白い法衣を着て現れ 一拝みして お供え物に手で触れると お供え物は祭壇に張り付いていて持ち上がりませんでした。お供え物を 離そうとしましたが 張り付いていて 力いっぱい引っ張っても離れませんでした。足でお供え物を挟み 根限り力で引っ張ると お供え物に足が張り付き 剥がれなくなりました。根限り暴れまわると お供えは祭壇から剥がれましたが 手足は着いたままでした。口で食いちぎろうとすると 口も張り付いて取れなくなりました。流石に苦しく 終に白衣の坊さんは 姿を現し 大蜘蛛になったとさ。「加茂川町の昔話 河原澄江」     平成30年(2018年)10月3日