下加茂 山根 狐の嫁入りfox's wedding in simogamo


下加茂山根ののおばぁさんが、夜に厠Kawayaに立つと 向かいの山に ポッと灯りが灯り、次第に数が増えたそうじゃ。再び見ると何もなかったそうじゃ。「吉備中央町の民話(1)」


昔 下加茂の近所のお婆さんが 夜に厠に立つと「向かいの山に、ポッと灯りが 灯っている」と 言うので、近隣の者達は みんな起き出して来て「怪しい光は 何だろうか」と 大騒ぎしながら見ていると 怪しい光は どんどん増えてゆきました。町の長老は「あれは狐の嫁入りの行列邪。  物凄い数じゃ。  明神山の狐は この辺りの狐の親玉かも知れん。 親玉の息子の披露宴の御馳走は ネズテンじゃろうから 加茂川中の鼠の殆どを 捕っただろう。 鼠がいないから 豊作じゃ。 縁起が良いぞ。 静かにして見てやろう。」と  皆を諭しました。ところが  一匹の犬が  異変を感じ 吠え出すと 村中の犬が遠吠えを始めました。その途端 狐の行列の火は 一瞬にして消えてしまいました。村人は  希望しない犬達の喧噪Kensouの所為Seiで  狐の行列のご利益が 失われる事を恐れ、犬達を 叱りました。しかし 翌年は 鼠による被害がなかったので 大豊作になりました。長老の知恵を 目の当たりにして 村人達は 長老に「来年も狐に 嫁取りさせたい。」と 知恵を 借りようとしました。長老は「狐が 嫁を取ったので 沢山の子を 産む。子育てに 鼠を沢山捕る。心配いらん。」と 答えたのです。「下加茂大寺の村人より口伝」

明神山:下加茂 北緯34度51分16秒東経133度49分29秒 山根:大寺の山よりの地域 ネズテン:鼠の天ぷら 豊川稲荷神社の狐の好物    狐火:肥料に使った魚粉 等の骨が 燐光を放つ現象 等です。 肥料を多くやると 豊作になります    犬のしつけの失敗:犬に 無駄吠えする 等 望まない行動を止めさせようとし 叱っても 悪い行動を 強化する事が しばしばあります。かまわれず退屈な時間を持て余す犬にとって 軽く叱られる事は 飼い主と 接触できる 楽しい場となるの ご褒美に相当するからです。同じように 咬む悪癖を直そうと 軽く叱り餌をやると、餌を 食べる間は 悪癖が止みますが、人を咬もうとすれば 叱られる事を 我慢しさえすれば それにも増した ご褒美がもらえるとすれば 増す増す人を 咬もうとします。

三谷の森神社の狐火らしきも怪奇現象:階段の手前で丸い透けた虹色の火の玉が 写っていました。森神社には 稲荷大明神が 祀られていています。稲荷大明神の眷属が 起こした狐火だったのでしょうか 狐の嫁入り:ある所に5歳 の「モン」と言う少女と母が 田畑を耕し生活していました。二人は麓から登る竃の煙を見て 人々の平和な暮らしを感じて心を慰められていました。すると ある時小高い丘のうえに小さな灯を3つ4つ見つけると灯はドンドン増えて10も12にもなりました。モンが「おっ母。ほらほら。きれいじゃなぁ。」と 指さすと、母は 夕食の支度を止め「ほんにきれいじゃのう。明日は雨じゃ。田圃の稲が 喜んどるじゃろう。」と 言いました。何の事か解らないで 不思議がっていると、モンを 膝に抱っこし「ありゃぁ狐の祝言じゃ。 目出てぇ。狐達ゃぁ旨いもんを喰うて… ほれ 2列になった。 あれは嫁ごの列じゃ。花嫁衣装は ぼっこう綺麗なんじゃ。雨に濡れちゃぁ汚れるけぇ 狐は雨が降る前に 嫁取りを済ますんじゃ。じゃけぇ  明日リぃは雨じゃ。稲がよう育って 米がようけぇ 採れたら 綺麗なべべぇ買うちゃろう。」と 言うと、モンは「狐の嫁っこの赤ぇ着物が きれいじゃけぇ あれにしてぇ。」と 答えました。やがて モンが大人になり 母親がなくなると、小高い丘を見て「ああ。今日は狐の祝言は無ぇ。明日りぃは晴じゃろう。芋堀でもすべぇ」「あぁ。今日は狐の祝言があった。明日りぃは雨じゃ。 納屋で縄を綯おう。」と 仕事の段折りを 決めたそうじゃ。http://www.city.kashiwa.lg.jp/soshiki/280400/p001536.html

平成24年(2012年)5月4日

 

2017年3月31日に【岡山「へその町』の民話-岡山県吉備中央町の採訪記録 立石憲利 吉備中央町図書館 吉備人出版】が発行されました。P230~P231に「狐の嫁入りの火」「狐の嫁入り」が載せられています。