杉谷・百々の滝の水神 God of water in Doudou-no-taki water fall


 大正から  昭和初期にかけ 高野神社の宮司を 先頭に 3回、百々の滝で 雨乞いがなされ 霊験あらたかでした。水神は  かつて川岸に 祀られていましたが、付近は 砂鉄の産地で  廃 砂等で 祖母谷川や 祖保谷川は 荒れており 度々大水の時 流される危険が有って、山の中腹に 移されました。雨乞いの時には 淵に藁製の龍を 洗ったと 言われます。龍が 機嫌を直し お礼に雨を降らせるのだそうです。藁の蛇を 沈めたとも 言われます。百々の神様は 蛇が嫌いなので 藁の蛇を流そうとして 大 雨を降らせるのだそうです。近くに 神変大菩薩が 祀られています。神変大菩薩は 蛇退治が 得意だそうです。「江与味の村人のより口伝」

 

神変大菩薩物語 story of Sinben-Daibosatu

大正のいつの頃か解らないのですが 大旱魃Dai-Kanbatuが 起こりました。作物が 全く育たない程に 厳しいものでした。水が 絶えた事のない百々滝も 殆ど 水が無くなりました。村人は 百々の滝に 龍神が住んでいると 信じていました。龍神に 雨乞いをしたいと思い、龍神社の宮司を 先頭にし 百々の滝に 来てみると 龍神の食べ物である 滝壺に住む魚や 蛙が 死に絶えそうになっていました。

村人達は、この飢饉Kikinを 乗り越えるには 龍紳に 雨乞いし 叶て貰うしかなく、魚や 蛙が 死なないよう なけなしの自分達の飲み水も 節約し 滝壺を 潤ませました。龍神を 藁で作り 残り少ない淵の水で 浄めても 雨は降りませんでした。藁で 作った蛇を 池に鎮めると、老人が 2匹の鬼を 従わせやって来ました。脛が 見える程の短いボロ布を 纏い  頭巾を被り、経の巻物 錫杖Syakujyouを 持ち 一本歯の下駄Getaを 履いていました。村人達は この老人と2匹の鬼に 恐れ慄きOnonoki 逃げ去ろうとすると、老人は「逃げなくて良い  わしは龍神と 深い関係にある  龍神を 守ろうとした そなた達の願を 叶えたい   見よ この後鬼は 水瓶Mizugameを 持っている   この前鬼は 斧Onoを 持っている   後鬼は 水の種を 運ぶ役をする  前鬼は 禽獣や 毒蛇を除き 煩悩を取り払い 智慧を 得る事ができる  これから 2鬼に 娑羯羅竜王Syagara-ryuu-ouの元に 向かわせ 水の種を 持ち帰らせる  魚 蛙を襲う 禽獣を廃し 邪魔Jyamaする者は 前鬼が 打ち払うであろう」と 告げました。それを聞いて 冷静さを 取り戻し、老人と 2匹の鬼を 能々yokuyoku見ると、老人は  仙人然としており、2匹の鬼は 修行僧然としていたので、村人は「天の助けが 現れた」と 思いました。

すると 老人が 呼び寄せた5色の雲に2匹の鬼を乗せて、天の泉に 向かわせました。老人は 滝の近くの山の中腹の岩に 腰掛け、孔雀Kujyaku明王の呪経を 唱え 毒虫の害を癒し 汚れた水毒を清め 安全な 飲料水に 変えました。 2匹の鬼は 邪魔する悪鬼を 打ち払い 打ち払い、天海に 辿り着き 雨乞いの本尊 娑羯羅竜王から 聖雨の種を たっぷりと 頂き持ちかえりました。老人は 百々滝の滝壺へ 鬼達に 聖雨の種を 撒かせると 水の種は 激しく天高く霧の柱と成り 昇って行き、天を覆う 入道雲と成り 稲妻の飛び交う雨に 成りました。稲妻の気を受けた 枯れる寸前の稲は みるみる蘇り、村は 旱魃から救われました。落ち着いた生活が 約束されると、やっと村人は あの老人が 役行者だと 気付きました。村人は 感謝し行者に 振る舞いを 申し出ましたが、老人達は ヒラリと5色の雲に乗り 何も言わず 何処かえ 飛び去りました。村人達は 翌年 8月に 山上大権現(役行者)の石物像を 作り祀りました。山上大権現は その後 何度も村人を 旱魃から 救いました。「江与味の村人のより口伝」  を基にした物語  神変大菩薩役小角山上大権現:神変大菩薩像は 多くの場合 僧衣に 袈裟をまとい  ひげを長く蓄え 手に錫杖を持ち 高下駄をはき 岩に腰かけ 斧を持つ前鬼と 棒を持つ後鬼を 従えています 龍神社:現在重岡神社に 合祀されています 高野神社:杉谷口 北緯34度56分26秒東経133度44分56秒 高野神社は 重岡神社に合祀されましたが、杉谷にも祀られています    高野神社の宮司:重岡神社(旧矢喰宮・旧天満宮)の宮司が 兼任しています  祖母:杉谷375・462・472・475・505番地  ソブ(鉄の多い砂 水の多い処)の転訛でしょう ソブは 祖保 祖父 勝負 菖蒲と 転訛します ドフドフ頭:杉谷503番地 菅ノサコ:杉谷491番地 菅は鉄分の多い地に繁ります  オウソボ保ソボ保祖母保楚ボ:杉谷689・757番地等 尾曽根:杉谷639番地 梶は 鍛冶に通じると されます    鍛冶曾根ハナ:杉谷642番地 久路木:693・黒木:杉谷694・735番地等 黒は鉄Kuroganeに通じ 製鉄地に しばしば付けられます 桶ノ久保:杉谷704番地 桶は 金穴流Kanna-ns\agasi(砂鉄分離)地に しばしば付けられます トヒガサコ:杉谷707番地 飛び火ヶ砂の訛と思います  鋳物生産地を 連想させます コワシメン:杉谷713・714番地 倉掛:杉谷761・クラカケ:杉谷762番地 倉 蔵 鞍は黒金に 通じ、倉掛は蹈鞴溶鉱炉の有った地に しばしば 付けられます 祖父ガサコ:杉谷764番地 祖母ガサコ:杉谷765番地 茶臼畑:杉谷787 番地 茶は 赤さびを 連想させ 砂鉄採取地に しばしば付けられます カ子カワチ・カ子ガワチ・カ祢河内:杉谷806・807・808番地  獅子馬場Si-no-baba・シシ馬場:粟井谷835・854番地等 砂鉄採取地でしょうか  死人を 葬った場所かも知れません 江与味祖母谷銅坑:北緯34度56分21秒133度46分15秒付近に多数あり、コンクリートで塞がれています    平成24年(2012年)12月10日