三谷 森様の恋 Broken heart at Mori-jinnja


まだ 備北中学校があった頃 2年生の同級生の雪子と 遼迦思え 何の抵抗もなく 奇怪な 自然現象として 受け入れられたのです。

実際に それは幸 せの御験Misirusiだったかも 知れません。いよいよ 拝殿に登る階段に 辿り着きました。二人の胸の高まりは 互いに 聞き取れるのではないかと思われる程でした。二人は 登る階段の斜度が 大きく 何も考える余裕が なかったので 厳かな 森の静けさが 二人を 無口にさせていました。無口であった事が 更に二人の心を 愛の感覚に縛り付けました。階段を昇る時間を とても長く感じ やっと 拝殿の前に 立ったのです。二人は無口で 神様を 拝み終わり 宮の周りを ゆっくりと廻っっていると 木の枝に 何か 拳大の丸い果実のような物が なっていました。雪子が「あれは何  大きい鈴みたいよね」と 尋ねると、遼迦は「あれはスズバチの巣じゃよ  鈴みたいに 紐\を通す穴もあるんじゃ」と 教えました。

「鈴なら 神様に 納めたいわ  取ってもらえる」と雪子は 遼に 頼みました。遼は 木登りは 得意ではありませんでしたが、大工になる事が 期待されていたので 高所恐怖症である事を 知られては困るので 雪子の願いを 断れませんでした。へっぴり腰で 木に登る姿は とてもみすぼらしかったのです。やっと スズバチの巣を 取って来て、雪子に 見せました。木の高い所に いた余韻が 未だ残っており、手が 震えていました。雪子には とんでもなく 頼り甲斐のない男に 見えました。巣を受け取ると なるほど 2個の穴が 空いています。神様に 奉納してもらうため、遼に 鈴の巣を 渡しました。遼は まだ震える足で 拝殿に 向かったのですが 足に力が入 らず、敷石に 足を取られ 転びそうになったのです。その拍子に スズバチの巣を 落としてしまい スズバチの巣は 壊れました。雪子は 急いで スズバチの巣を 拾い上げました。その瞬間 雪子の悲鳴が 森中に 響いたのです。手の中には 動けなくなった青虫が 溢れるほど 沢山入っていたからです。雪子は 青虫が 死ぬほど 嫌いだったので、スズバチの巣ごと 青虫を 投げ捨て、真っ青に なって逃げ帰ってしまいました。それからは 雪子は 大嫌いな虫を 鈴から出したのは 森神社の祟りで、また 美男子ですが 遼の情けない正体を 神様が お告げになったのだと 信じて、遼を デートに誘う事を しなくなりました。遼の頼りげのない 弱虫振りを見た上、青虫の洗礼を受けたのですから、百年の恋も 冷めようと 言うものです。遼の誠意と蛮勇は 実らなかったのです。㊟「著者の知人の失恋話」個人名は変更しています。    三谷森神社:北緯34度五14分25秒東経133度47分49秒

 

 子狐の飯事 PLAY HOUSE WITH FOX KIT

稲荷神宇迦之御霊命Uka-no-Mitama-no-mikoto)を祀る 三谷森神社の杜の中腹に 愛ちゃんと 綾ちゃんと言う姉妹が 住んでいました。山の中だったので 遊びに来るお友達は 滅多にいませんでしたから、2人で 何時も 遊んででいたのです。2人が 御飯事Omamagatoを していると 珍しく 可愛らしい男の子が 近づいて来て 飯事に 乗せて 欲しいと 頼みました。姉妹は 顔を見合わせ びっくりした表情をしましたが、珍しい 訪問者を 飯事に入れてあげました。愛ちゃんが 男の子に「お名前は」と 尋ねましたが 男の子は 困って モゾモゾするばかりです。綾ちゃんが「コンちゃんと 言うのでしょう」と 言うと、男の子は 自分の名前を 言い当てられて 驚いた様子で「何でわしの名前ぉ 知っごるんじゃ」と 尋ね返しました。姉妹は 顔を見合わせ 笑いました。栃の葉のお皿や 柏の葉の茶碗が 筵Musiroの卓袱台Tyabu-daiに 並べられていました。綾ちゃんが「おかずは 油揚げにしよう」と 言って、お家のお母さんに もらいに行きました。お母さんは 飯事に 本物の油揚げを使うのが  不思議なので、御飯事の卓袱台を 見に 家の外に 出てきました。可愛らしい男の子を 見て 笑いながら 油揚げを持 って来て「まあ まあ ようお出でになられた  おえ(部屋)に お上がりなさい」と 言いながら、栃の葉に 油揚げを 載せました。コンちゃんは 油揚げが 大好物だったのです。「ぼっこう旨ぇ ぼっこう旨ぇ」と言いながら コンちゃんは 嬉しそうに 食べました。夕方まで 3人は 楽しく飯事をして お別れする事になりました。「面白かったよね  また来てね」 と 姉妹が言うと「また来るよ  有難うでした」と 挨拶して 紅葉の手を ふりふり 着物の裾から出た 大きい尻尾sippoをふりふり コンちゃんは 森神社の裏山に 帰って行ったとさ。「黒瀬岩男談」  乗せる:仲間に加える  例えば傘に乗るとは 相合傘する事です。  平成24年(2012年)3月3日