上竹 大村 浄戎坊の猫 Cat kept in Jyoukai-bou temple

延享(Enkyou元年(1744年) 大塚の作兵衛と 言う農夫がありました。ある夜のこと 子供を寝かしている部屋で 怪しい音がしたので、飛んで行ってみると 子供がいなくなっていました。大騒ぎして探したが 見当たりません。そうこうしているうち だれ言うとなく、それは 浄戒坊に古くから住んでいる猫の仕業だと 言う事になりました。浄戒坊に 怒鳴り込みましたが 和尚は言うには「確かな証拠もないのに 猫と決める訳にはゆかぬ  疲れているようなので 休んでゆきなされ  そのうちに 真実が解るだろう」と 言って、酒肴を 振る舞ってくれました。そうこうするうちに 睡魔に襲われうとうととした時、浄戒坊の猫が現れ「子供を殺したのは 私ではない。実は この寺に住み着いている 大鼠の仕業です。私も かねてから この鼠を 退治してやろうと思って 何度もやっては見たが、何分にも 強く 体力に優れた 大鼠のこととて 私一匹では 勝ち目がありません。大西に大猫がいるので その猫を 借りて来て下さい。力を合わせて 必ず 仇打ちをします」と 言ったところで 目が覚めました。早速 大西の猫を 借りてきたところが、翌朝 猫を上回る大きさの鼠が 浄戒坊の山門に 見られ それ以上 いたましい事故は無くなったと言う。「賀陽町史追補版p825」

 

浄戎坊の猫 CAT KEPT IN JYOUKAI-BOU TEMPLE


 延享(Enkyou元年(1744年) 大塚の作兵衛と 言う農夫に 目出度くも その妻が 出産しました。その夜 おかしな音がして、子供が 寝床から 消えました。作兵衛は 明かりを灯し 探しましたが、いくら探しても 見つかりませんでした。誰が 言い出したという訳でもなく「浄戎坊で飼うているいる猫又Nekomataの仕業じゃ」と 言う噂が 広まりました。作兵衛は 噂を信じて、浄戎坊の和尚に 文句を言いに 行きました。「わしの大事な子ぅ取って食うた猫ぅよこせ  敵討ちするけぇ」と 作兵衛が 大声を出すと、和尚は「藪から棒に 何ぅ言いなさる  里人の言う事にぁ 理が無ぇ訳じゃぁ無ぇが 証拠が 無かろう  証拠が無うて 作兵衛さんの子を わしの猫がとり殺したと決め付けられるんは 心外じゃ  長う飼うとるけぇ殺されるんは不憫で叶わん   証拠無しじゃぁ渡せん  まあ休んで行かれぇ 間もなく猫が帰って来るけぇ 問い質しToi-tadasi下されぇ  酒とあてぇ 用意するけぇ」と 言って、酒肴Sake-Sakanaを 振舞ったのです。作兵衛は「確かに 証拠は無ぇ  噂ばぁ信じて 荒ごうてしもうた  猫の言い分を聞かしてもらおう」と 言って 酒を勧められるままに 飲んでいると 浄戒坊の猫が 帰って来ました。

古猫は「わしが 作兵衛さんの子ぅ引いて来たんじゃぁねぇ  この寺の縁の下に住み付ぃている大鼠(Oo-Nezumiのせいじゃ  作兵衛さん  児の仇Adauぁ取ろうと思ぅて 掛かって行ったんじゃが わし一匹じゃぁ 手に余るんじゃ  大西の家にも わしと同じ位の正義の猫がおる  二匹掛かりで 挑めば 勝てるかも知れん 大西の大猫に 加勢を頼むけぇ 借りて来てつかぁせぇ」と 言うのです。作兵衛は 半信半疑で 翌日 大西の大猫を借りて来ました。大西の猫は 牛位の体格で 縞模様があり、直ぐに浄戒坊の猫と 気が合いました。その夜 2匹は 縁の下に入って行きました。暫くの間 猫と 鼠が 咬み合う夥しいobitadasii激しい音がしました。すると大鼠が 山門から逃げ出し、山の中へ逃げていきました。それからは 神隠しの禍が この村から無くなりました。「賀陽町史」「上竹村史」を基にした物語

猫又:人の言葉が解り 不思議な妖力を持つ猫の事です。多くの猫は 10歳程で 戸を開ける等 人の行動の意味を学習します    大村寺:最盛期には浄戒坊(上竹5387・5515番地) 壇土坊(上竹5586番地) 精進坊(上竹5635番地) 般若坊(上竹5630番地) 安忍坊(上竹5442番地) 谷の坊 天台坊(上竹5399番地)等 12ヶ坊を数える程 栄えていました  現在の大村寺は 壇土坊で、浄戒坊は 現在 存在しません  大村寺は大村公会堂の約400m北方 北緯34度50分5秒東経133度39分37秒付近 上竹谷口5600番地 鼠が引く:一人でいると 鼠のような弱いものにでも 攫わな程心細くなること 鼠に引き込まれる:一人でいた人が 急に見なくなった時 大鼠が巣に引き込んだと 昔の人は考えました。 大西:上竹5163・5164・6475・6476・6479番地 大西の猫の正体:長野県に 良く似た話が あります  恙虫Tutugamusiと言う病気が 流行って 村人が困っていた時、大鼠が 虫を全部食べてくれて 村から病気が無くなりました  村人は 大鼠に感謝し ご馳走すると、大鼠は 巨大となり 貰う餌だけでは足りず 畑を荒すようになりました  村人は 困って 日本中の猫に 戦わせますが 鼠に 勝てませんでした。それで唐今の中国の牛位の大きさの猫を 連れて来て 鼠を退治したそうです 虎の事でしょう  虎ならば借りて来たとしても 大鼠の前で「借りて来た猫」には ならないでしょう   平成23年(2011年)9月15日